ドナンダーの楽士は語る、コリマー部族の英雄たちの物語を。
アランの子らの氏族の創設の物語を。
今宵語る物語、讃えよ勇者たちの名を。
氏族の長、女神ヴィンガの愛子アラン
巨人殺し、フマクトの剣士ビヨルン
災いの剣の運び手、オーランスの戦士ガーラント
氏族の絆の結び手、祖霊の声を聞くまじない師ジョージ
混沌殺し、ストームブルの狂戦士ガラルド氏族を守護せし精霊持たぬアランの子らの物語。
この世の災いはねのける、守護の精霊持たぬ者。
いずれ滅びる定めなり。
守護の精霊ワイターを、持たぬ者らに未来なし。
最終話は五人のプレイヤーが参加してのセッションとなりました。
ミニキャンペーンの三話目は、氏族を守護する精霊ワイターを求めるクエストです。
守護精霊ワイターとは?
そもそもワイターとは何なのか、グローランサ独自の用語概念と思われますので、RUNEQUEST Roleplaying in Gloranthaから説明を引用です。
ワイター(Wyters)は共同体の守護精霊です。それは、特別な権限と能力を授けられた、その共同体の指導者と構成員につながっている魔法のような存在です。ワイターと結びつく共同体は様々であり、村、軍の連隊、寺院、氏族、部族、そして都市、すべてに関連しています。情熱(パッション)が結ばれた共同体はいずれもワイターと結びつきます。ワイターは共同体にとって強力な力の源であり、最も貴重な宝でもあります。共同体が存在しなくなれば、ワイターとの絆も失われます。ワイターを失えば、共同体も保てなくなります。 共同体の構成員は他の共同体に移ったり、去ったり、おそらくその地を離れるでしょう。
個々のワイターの起源はさまざまです。ワイターには死んだ英雄の精霊、地霊、神の子供たち、人工の精神的被造物、絶滅した精霊の魂、知恵あるエレメンタル、そして他の多くの可能性が含まれます。 起源が何であれ、これらの不思議な存在は、ヒーロークエストを通じて、精霊と共同体を結びつける絆を得てワイターとなる。
個人的な感覚ですが、日本に置き換えると地域の氏神様が一番近いように思われます。
“アランの子らの氏族”は、外的要因から協力し合うために共同体となろうとしていますが、血縁が異なる氏族の出の者たち、信仰するカルトも異なり、精神的な繋がりが無い状態です。
皆が一体感を得て氏族という運命共同体となるためには、ワイターは必須の存在なのです。
聖祝期に導きの手が差し伸べられる
この世のことわり保つため、聖祝期の礼拝に、
集いし者たち願うこと
守護の精霊いずこなりこの世とあの世、現世と神世、二つの世界が交じり合う
聖祝の儀に舞い降りた、七柱の霊のかすかな姿
誘惑の声を振り切って、氏族の長は定めたり
我らの守護者を定めたり
グローランサ世界の年末最後の二週間は聖祝期と呼ばれ、様々な儀式が執り行われる特別な期間です。
アランの子らの氏族はワイターがまだいないため、皆が思い思いの存在へ礼拝を始めるという奇妙な状態に陥ります。そして、それは様々な神格や精霊を引き寄せる不思議な結果に…
そして、アランは直感的にそのひとつを選びます。
でも、実際には、プレイヤーたち全員で、どの存在が氏族のワイターにふさわしいか相談して決めてもらうことにしています。
個々のキャラクターのルーン親和性で判定を行い、それぞれどのような存在かヒントを受け取ります。
- 風のルーン/電光の槍を持つ巨人:オーランス神の相のひとつが顕現したものと推測。これを選ぶと七母神の入信者が反発するだろう、ということで選外へ。
- 月のルーン/穏やかな笑みを浮かべる女性:赤の女神の相のひとつ顕現したものと推測。これを選ぶとコリマー部族に留まることが困難になるだろうということで同じく選外へ。
- 死のルーン/剣を持つ男:死神フマクトの相の一つが顕現したもの、あるいは眷属や英霊と推測。どちらかというと「死のルーン」の対極の「豊穣のルーン」に親和性が高いものが多い共同体とは相性が悪そうだ、ということで選外へ。
- 大地のルーン/半蛇半女:第二話で遭遇した大地の女神の眷属と確信を得ます。前回ビョルンが呪詛を受けたこともあり、ワイターに迎え入れる難易度が高そうだということで選外へ。
- 獣のルーン/羊頭の女人:アイリーサの娘の一人と思われる大精霊。魔法の大羊を得たことで密かに縁が生まれたものと推測。もしそうであるならば、プラックスのアイリーサの大寺院へ向かう必要がありそう、それは遠くて大変そうだということで選択保留。
- 人のルーン/顔のない女性:なぜか懐かしく感じる女性。祈祷師助手のジョージは、彼女がはるか昔、ドラゴンパスにコリマーが入植したころの女性、多くの者の母となった祖霊と推測。この時点ではかなりの有力候補。
- 謎のルーン/三人にして一人の女性:若いようで老いている、慈愛の笑みを浮かべるようで理解できぬ表情、とても不思議な存在。アラン自身は強くこの存在に引き付けられていた様子。
人のルーンの祖霊か、謎のルーンの女性かでプレイヤーたちが悩んでいる様子です。どうやら、謎のルーンに惹かれるプレイヤーも多い様子なので、ゲームマスターはシナリオを進めるため、聖祝期の日程を進めることにします。
変革者アーグラス現る
聖祝期を終えて新たなる年を迎えた氏族の元に、魔術部隊ウォーロックによる瞬間移動魔法を使って、パヴィス王アーグラスがアランたちの元を訪れます。
傍らには怪しげな神知者や竜語を語る者などを連れ、とにかく常識的なサーター人から見ると、胡散臭さはものすごい奴です。
(グローランサ知識の個人差により、各プレイヤー反応は様々・・・)
コリマー部族に留まりながら、七母神の入信者たちを受け入れて氏族を興そうとしている者たちにアーグラスは興味を持ち、ある提言をするために忙しい時間を割いてやってきたと語ります。
「君たちが見た三人にして一人の女性、それは白き月の女神、黒き月の女神、赤き月の女神、すなわち七母神の一人である“待つ女”であると、私は考えている」
「女神に仕える先ぶれの七柱の神々のうち、定まらぬ存在としての“待つ女”の座を挿げ替えて、コリマー部族に受け入れられるものにする方法を知っている」
「この魔術的な実験が成功すれば、七母神のカルトを新たな形態へと変えることで、氏族の皆を加護する強力なワイターとすることができるはずだ」
ここでプレイヤーたちは再度相談タイム。
唐突に現れたビッグネームのNPCですが、マッドサイエンティストならぬマッドメイガスという評価に落ち着きます。
アランのプレイヤー自身は、七母神のカルトを変革することに強く惹かれた様子。そのために、自身のキャラクターが人身御供になる可能性があっても、と先を読んだ発言もしています。
他のプレイヤーの中にはその展開を予想し、強く反対する者も。犠牲者を前提とした解決方法には賛同できない、と。
このプレイヤーたちの予想は正しいもので。ここで諾と受け入れたならば、七母神による女神再誕の儀式を一部変えて行うことで、地域限定でカルトを変革するためのヒーロークエストに挑んでもらうことになります。その選択をすれば、誰かが犠牲にならねばならず、それは赤の女神やティーロ・ノーリのような女性であれば成功率が高まるものです。かなり後味が悪い結果が待っていますが、コリマー部族とオーランス、ルナー帝国と七母神、それぞれを繋ぐ異端カルトが創立されることになったでしょう。
最終的には、犠牲者が前提となる儀式は避けたいし、儀式の成功率が極めて低そうだから断る、という結論に至りました。
アーグラスは成功率が極めて低いことを素直に認め、再び転移の魔法で去っていきます。
実際、もしプレイヤーたちがこの道を選んでいた場合、最後にアランのプレイヤーは【POW】の1/2ロール、という極めて難しい判定をすることになっていたでしょう。
多くの者の母を求めて
我らヒョルトの民の母、はるか昔の母の母、
祖の祖たる顔無き女、名を忘れられし女
かの者こそが守護者なりかの者眠りし塚めざし、絆得るため出立ぞ
古き塚を目指す旅、出立するは七人の
勇ましき者は集いたり
さて、アーグラス来訪の事実を語ることを止めた結果、次点であった人のルーンに関わる顔のない女性をワイターとすることが方針として決まります。
聖祝期において見たヴィジョンをもとに、様々な技能判定を行い、祖霊たる女性が眠っている塚の所在地を限定することに成功します。
コリマー族と並んで昔から大きな勢力を誇っているマラニ部族のテリトリーにある丘が、その塚がありそうな場所と推測します。
しかし、マラニ部族はスターブロウの反乱では蜂起に参加しなかったため、鎮圧後にコリマー族から氏族と領土を奪った過去があり、コリマー部族と仲が良いわけではありません。
部族の境界こえていけ、仇なす部族を恐れるな
古き塚を目指す旅、春の女神の導かれ
マラニ部族の郷へ至る
いつものように縁起かつぎのため、プレイヤーたちのキャラクター五人に、二人の従者を加えた七人で旅立ちます。
これはルーンクエストをプレイする際の個人的なテクニックとなりますが、随伴する従者は性別や名前や年齢を描写せず、ひたすら無個性な状態で参加させています。
もし不運な事故で、シナリオの序盤でプレイヤーの担当キャラクターが死亡した場合、この従者をプレイヤーキャラクターに格上げし、不運なプレイヤーが残るセッションも参加し続けられるように、という意図が密かにあったりします。
このミニキャンペーンでは幸運にも、このバックアップは使用せずに済んでいます。
狂戦士、人食い鬼を屠る
見知らぬ部族の砦街、無数の者が集まりて、春の訪れ祝いあう
されど人々の中に潜みしは、同族喰らいの人でなし
悪鬼を崇める鬼人は、正体隠して人喰らうストームブルは狂戦士
故にその子のガラルドも、獣のように嗅ぎつける
混沌崇めし鬼人へ、剣を抜いて駆け寄れば
数合のうちに切り伏せる
雄牛の仇を切り殺す
コリマー部族とマラニ部族のテリトリーの境を隠れて渡ると、何かあった場合に非を咎められ、部族間の戦争の口実にされると不味い。という配慮の結果、まずはコリマー部族領内のルーンゲートまで出て、マラニ部族のテリトリーのアーナールダ寺院街への街道を進み、そこからはクリーク河沿いに丘を目指す、というルートを選択をします。
アーナールダ寺院街では、人食い鬼オーガ(グローランサ世界では見た目は普通の人)が正体を隠して街に潜んでおり、その人食い鬼が犯す殺人の嫌疑がプレイヤーキャラクターに向けられる、というイベントを用意。ただ、この手のイベントにはリスクがありまして…
設定上、ニアミスする可能性がある場所、街に入って検問を前にしたところで、お約束の判定を行います。対象となる狂戦士ガラルドのプレイヤーにダイスロールをしてもらうといい出目です。
「ガラルドは混沌の臭いを感じ取ったよ。ちなみに〈混沌感知〉は15メートル程度の範囲に混沌の存在があるかを感じ取る能力です」
「近づいてくる者はいない。でもガラルドは衛兵のいる者に近づいた瞬間に混沌を感じた。つまり衛兵が混沌の存在である。混沌は殺す、突撃して切り殺します!」
見事な三段論法ならぬ四段論法ですが、グローランサ的には合ってるんですよね。念のため理性的に行動するか、本能的に行動するか、ルーン親和性で判定してもらいました。もちろん、ストームブルの狂戦士は獣のルーンが高いのがあたりまえ、理性ではなく本能に従って行動し、一撃で衛兵を切り殺します。
あっけに取られ、他の街の者たちは行動が遅れましたが、すかさず仲間プレイヤーたちがフォロー。
「よろこべ、マラニ部族の者たちよ! 我らが混沌殺しの戦士ガラルドが混沌に与する者を討ち果たしたぞ! 祝うが良い!」と剣士ビヨルンが〈雄弁〉をカマします。
実際、間違った行動ではなく、調べれば衛兵が密かに人を捕らえて喰っていた証拠が住まいから見つかるので、ここはあっさり乗るマスタリングへ。
密かに潜みし鬼人の首、マラニ部族の長へ投げ
潜みし災い絶えたこと、めでたき事と祝いあう
内心は苦々しく思っていても、マラニ部族の者たちに招かれて、祝宴へ。
ただし、ここでキャラクターたちの顔と名前、人数や姿は覚えられたものとして、シナリオ後半を微調整します。街を出た後、密かに後をつけられ、血の気の多い者たちが手勢を集めて闇討ちしようとすることになるのです、が・・・
古き塚へ
マラニ部族の地を後に、原初の川を遡り
古き塚へと歩み寄る
行く手を阻む獣など、恐るに足りぬと蹴散らして
ヒョルトの母へと歩み寄るついに至りし丘の上、古き塚へたどり着く
神世の時に亡くなった、ヒョルトの母の眠りし地
祈りをささげるまじない師、閉ざされし塚の封印を
我らの英雄開いたり
一行は祖霊の眠る塚を目指して旅を続けます。
途中、大型のサーベルタイガーによる襲撃シーンもありましたが、危ういところで攻撃をやり過ごし、返り討ちとします。実は、戦闘的にはここが一番のピンチだったりします。ストーリーの本筋とは関係ないけど、ものすごく手に汗握る戦闘シーンでした。
(危うくアランを殺してしまうところだった、ヒヤヒヤッ)
塚は非常に古く、ヴィジョンを得ていなければ気づくことは無かったであろう、ということにしてあります。
物質界との関わりが失われて久しい女性の霊は、もちろん精霊界にその身を置いています。その霊との接触をするため、祈祷師助手のジョージがトランス状態に入ります。
ミニキャンペーンの全てに参加していた祈祷師助手のジョージは、シャーマンとなる条件を満たしているとゲームマスターは判断し、変則的ですが完全なシャーマンとなる試練の儀式と、祖霊との接触を同じ儀式として執り行うことを提案します。
ジョージのプレイヤーも望んでいたことなので、シャーマンとなるプロセスが進められます。
とは言えど、他のプレイヤーたちが暇になるのは不味いので、ジョージに触れていたアランは巫女として精霊界の出来事を垣間見、ジョージと精神とつながる形で祖霊の元に共に向かいます。
また、物質界に残ったキャラクターたちは、遠くから接近するマラニ族の血気猛る男たちの気配を感じ取ります。トランス状態となったジョージとアランは無防備な状態のため、戦闘は避けなければなりません。
そこで、戦士ガーラントが囮となり、森の中を逃げつつ男衆に姿を見せ、追いかけっこで時間を稼ぐ作戦を立てます。
実際のプレイは、この二つの場面を交互に侵攻する形を取りました。
祈祷師は目覚め、祖霊は縁を結ぶ
眠りし祖たる母の骸、絆の証の古き櫛
守護の絆を結ぶため、かの者の待つ深き地へ
その魂を向かわせる精霊集いし地を越えて、肉体離れた魂は
祖たる者が眠る地を目指し、ついに深淵の底にたどり着く
されど待ち構えしは黒き影、定命の者を阻んだり祖霊の声を聞くジョージはその身を引き裂いて
魔精を放って立ち向かう
いまや彼の者目覚めたり、祖霊の使いと相成れり
黒き影を追い払い、顔無き女と相対す
血の繋がりを確信し、赤き絆を強くする
いまや彼女も目覚めたり、氏族の守り手目覚めたり
ルーンクエスト3版では、祈祷師となる儀式は命がけの儀式であり、高確率で魂を悪なる者に喰われ、死ぬことが多くありました。
ルーンクエスト4版ではルールが変わったため、基本的に祈祷師/シャーマンになることはできるが、その過程でよくない結果であれば、シャーマンとしての能力は低くなり課せられる制約も多くなる、というものに変更されました。
ジョージ(と繋がったアラン)は精霊界へと意識を飛ばします。精神的な試練、儀式的な死と再生を経験し、フェッチ/魔精を目覚めさせたジョージはシャーマンとなり、多くの者の母なる祖霊の元に向かいます。
開拓者コリマーの時代に多くの息子と娘をもうけた名もなき女性、その女性に連なる娘や孫娘たち、集合的な女性の祖霊が多くの者の母、偉大なる母という精霊の正体でした。
彼女を偉大なる母として氏族を上げて祭ること、偉大なる母はその血を引く末たる氏族の者たちを守護する精霊となること、シャーマンのジョージを介し、祖霊とアランは血の結びつきを確認し契約を交わします
アランの子らの氏族は、念願の守護精霊ワイターを得ることに成功します。
戦士ガーランド、闇に乗じて追い手を惑わす
されど災い忍び寄る
儀式を見守る追随者、気まぐれ男は動き出す
彼の者は災いの剣を運び、物見の中で出くわすは
憎悪の猛った跳ね返り、マラニ部族の男衆
よせばいいのに声をかけ、古き憎しみ掻き立てるされど災い忍び寄る
儀式を見守る追随者、気まぐれ男は動き出す
彼の者は災いの剣を運び、物見の中で出くわすは
憎悪の猛った跳ね返り、マラニ部族の男衆
よせばいいのに声をかけ、古き憎しみ掻き立てる
逃げるガーランド、追う男衆。
またもや災い引き寄せて、敵を引き連れ駆け戻る
集まりに集まる男衆、二十を越える剣と盾、
帰路の道に立ち阻む
マラニ部族の男衆たち、総勢20名が塚を目指してやってきます。
《闇歩き》を使うと、完全な闇の中にいるため、敵方は攻撃に-75%のペナルティを受けます。簡単にはガーランドには矢は当たりません。それでも、追手は《霊視》や《魔力消散》などを使い、挑発を続けながら逃げるガーランドに迫ります。
ジョージたちの精神が肉体に戻る頃合いに、なんとか時間稼ぎをしたガーランドか戻ってきます。
冒険者全員がそろった事になりますが、七人 対 二十人、かなり人数では不利な状態です。
※二十人の敵兵を出すゲームマスター、どのくらい世間にいるかわからないけど、たぶん酷いんだと思います。
英雄たち、敵を蹴散らす
群がる剣盾なんのその、豪傑二人が迎え討つ
ビヨルンの手に握られし剣、一振りすれば脚を断つ
ガラルドの手に握られし剣、一振りすれば胴を断つ
セッションの最終戦闘となる場面ですが、実はセッション当日の時間配分ではやや押し気味でした。普通に考えれば、数回分の内容としてもおかしくない詰め込み具合なので、そもそも見立てが甘かったと言うべきでしょう。
それでも、なんとか時間を短縮する方法を考えながらシナリオを進めていきます。
圧倒的な人数差の不利を覆そうと、精霊魔法やルーン魔法でバフをかけ、鎧厚めの前線役、前線突破してきた敵を迎え討つ中衛、そして接近戦が不得意な後衛、それぞれが役割分担を明らかにし、塚での攻防戦が始まります。
が、戦闘が始まって1ラウンド目から、あっさり敵側は二名が深手を負う被害。うち一名は巧みな剣さばきにまともに受けも取れず脚を切断され、うち一名は力任せに胴体叩き切られて絶命してるありさま。
まぁ、《剣使い》で武器技能を高めたフマクト剣士は鬼のように強いですね。
ガーランドを追うために《霊視》や《魔力消散》でルーンポイントを消費したため、この戦闘では、それぞれの男衆は自身の治療用にルーンポイントを温存している、としているので、攻撃的な魔法での逆転も難しそうです。
そもそも、混沌の化け物との闘いならいざ知らず、同じオーランス人との闘いとなれば死ぬまで戦うほどデタミネーションは高くない、とゲームマスターは判断しました。
たった二振りの剣の前に、二十の剣が逃げ惑う
コリマー部族の豪傑一喝し、恐れた者は逃げ出すよ
蜘蛛の子を散らすように、逃走を始めるマラニ族の男たち。
プレイヤーたちにとっては少し物足りないかもしれませんが、グローランサに生きるオーランス人たちの振る舞いを忠実に再現し、撤退させることとしました。
英雄たちの帰還
長き旅は終わりを告げる
絆の品を持ち帰り、氏族の絆が結ばれるかくしてワイターを得たり、ひとときならぬ絆を得たり
風を崇めし者あれば、月を崇めし者もあり
されど、いずれも同じ者、共なる祖の腹より生まれたり
違いはあれど仲間なり、ヒョルト人の子なり
ワイターは象徴として櫛に宿ることになり、氏族の元に現れます。
崇める神が揃わず、望んで氏族に加わったというより、状況的にやむを得ず氏族に加わった、という者が圧倒的に多かったのが偽らざる事実でした。
しかし、ワイターを迎えたことで、氏族の者たちは等しく古き母を祖とする遠い血族であった、という意識になります。
実際に世代を遡って確かめれば、事実かもしれませんし、 違うかもしれません。しかし、そんな事はもはや些末なことになっていました。
はじめて、氏族の者たちの心が一つになり、同胞という意識を持つことで、アランの子らの氏族は、本当の意味で氏族となりました。
こうして振り返ってみると、自画自賛となりますが、いいテーマのミニキャンペーンだったんじゃない?となりますね。
これにて、竜の目覚めの年の聖祝期にありし物語を語り終えん。
ドナンダーが語りし次なる物語、“女王の戦いの年”の物語は、またの機会にて…
あっ、続きの物語をやるって言ってるんだよね。
さて、本格的に準備をするとしましょうかね…