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ルーンクエストへようこそ (オンラインチュートリアル01~07)

 

【01】ルーンクエストへようこそ

ようこそルーンクエスト、ようこそグローランサへ!

ここは英雄と神々の住まう神話の地であり、ここに住まう人々が忠誠を捧げるのは部族、都市、カルトであり、抽象的な属性やイデオロギーではない。人間が支配的な種ではあるが、それはいまだ世界の大部分を支配している古えの種族が互いに争っているからに過ぎない。

グローランサにおいて、神々や女神たちは実在し、そのカルトを通じて、ほとんどの大事件で重要な役割を果たしている。その時代の英雄志望者たちは冒険者として知られており、各々がいくつかのルーンと結びついている。ルーンはグローランサを構成する宇宙的な力であり、神々としても顕現している。強力な神格は太陽、大地、風、水、闇、そして月に関連しており、同様に死、生命、変化、静止、幻影、真実、無秩序、調和なども、それぞれにルーンが存在している。冒険者たちはそれらの神々を崇拝するカルトに入信することで魔術と援助を獲得する。

冒険者たちは氏族、部族、都市、あるいはその他の共同体などの組織に参加して活溌に行動しているメンバーである。彼らは単なる自由な略奪者ではなく義務や忠誠や対立を持っており、グローランサ世界とルーンに根深く結びつけられている。冒険者たちは所属カルトで昇進することでルーンとの結び付きを深め、力を得て、真の英雄となるために探索を重ねていく。

グローランサ全体の中で最も重要な場所の一つがドラゴンパスである。そこはジェナーテラ大陸の中央部に位置している。この土地は紛争と祝福の機会にあふれた、極めて魔術に満ちた場所であり、この世界の数多くの偉大な神話の中心地である。またドラゴンパスは英雄戦争と呼ばれる偉大で黙示録的な一連の出来事が起こると予言された場所でもある。最近起きたルナー帝国の支配に対する叛乱によりドラゴンパスの都市の多くは廃墟となった。貴族、カルト、氏族はその跡地で力と権威を求めて争い、解放者たちは失なわれたものを再建し取り戻す努力している。

 

まあ、一部の方に対しては「おかえり、グローランサへ!」となるわけですが。
ホビージャパンから出版されていた日本語版ルーンクエストの正統後継版、それがRunequest Roleplaying in Gloranthaです。Twitterなどでは「RQG」と略されていたりします。

 

システムの骨子であるベーシック・ロール・プレイングシステムを踏襲しつつ、よりグローランサらしい体験ができるようにゲーム・システムも進化しています。

 

世界設定も「英雄戦争が始まるかもしれない時代」から「英雄戦争は始まっている、それは確実に世界を大きく変化させつつある!」と動き始めました。

 

具体的にはサーター王国のレジスタンスたちは蜂起し、「真竜の目覚め(ドラゴンライズ)」事件をきっかけにサーター王国に駐屯していたルナー帝国占領軍は一時的に撤退しています。


サーターの新たなる皇子として、女傑カリル・スターブロウは真の竜を目覚めさせる儀式を行い、ルナー帝国駐屯軍の主要な戦力は貪り喰われました。

 

パヴィスを解放した白き雄牛のアーグラスはプラックス地域の反ルナー勢力をまとめ上げ、新たな勢力として注目されています。

 

サーター王国の伝統ある大部族コリマー部族、かつてルナーへの反乱を企てて追放されていたレイカ女王は南方から舞い戻り、再び部族の長となりました。


彼女と同様にレジスタンスとして部族を離れていた者たちの一人が、プレイヤーが担当する冒険者なのかもしれません。サーター王国に収まらず各国を渡り歩いて戦役を生き延びた猛者たちかもしれません。

 

ルナー帝国最大の属領地ターシュ王国は、ルナー帝国の支援を受けた国王派、軍閥と民衆から支持を受けている博識ファザール派、そして大地神と流民からなる古ターシュ派、それぞれが争う内乱に突入しそうな状況です。

 

かつての敵は味方になるかもしれない状態となり、いくつかのカルトはプレイヤー向けのものになるようデザインされています。


七母神入信者であるルナー帝国の元兵士、変化の時代と共に増えている道化神ユールマル、などがその代表例です。

 

02】ゲームシステム/基本能力値について

全てのキャラクターは、7種類の基本能力値の全部もしくはそのいくつかを持っている。
基本能力値は大きいほど良い値である。

  • 筋力(STR):生の筋力。ダメージ・ボーナスや、どれだけ持ち運べるかや、どのような武器が使えるかを決定する。
  • 体力(CON):健康とスタミナ。ヒット・ポイントや、回復力や、傷を受けたときにどれだけ意識を保てるかや、病気や毒に対する耐性を決定する。
  • 大きさ(SIZ):物理的な大きさ(身長と体重)。ヒット・ポイントや、ダメージ・ボーナスや、戦闘におけるストライク・ランクを決定する。
  • 敏捷力(DEX):スピードと肉体の反射速度。戦いや、回避や、戦闘におけるストライク・ランクに影響する。
  • 知性(INT):推理力、記憶力、解決力、発想、知識など、また一部の魔術においても役に立つ。
  • 精神力(POW):霊的な存在力、意志力、運(世界や神々から示される好意)。呪文をかける際に使用するマジック・ポイントを決定する。
  • 魅力(CHA):指導力、人格力。魅力や迫力によりどのように他人が影響を受けるかを決定する。ルーン魔術の獲得できる量や、どれだけの数の精霊魔術呪文を所有できるかに影響する。

 
ホビージャパンから出版されていたルーンクエスト三版からの主な変更点を少しだけ触れておきましょう。

  • ヒットポイントがCONとSIZの平均ではなく、CONをベースにSIZやPOWによる修正に変更小型。小型クリーチャーは生存性が高まり、大型クリーチャーは倒しやすくなっている
  • INTの重要性が下がり、CHAの重要性が高まっている
  • 精霊呪文の修得や精霊戦闘での攻撃力にCHAが関係するようになり、CHAの重要性が高くなっている
  • POWは呪文抵抗の要。攻撃呪文を通すための抵抗ロールが、MP対MPから、POW対POWに変更されている

 

【03】 能力(アビリティの使用)

最も重要な行動には個々の能力(アビリティ)の使用が必要となる。
技能、ルーン、パッションの3種類が代表的なアビリティ

冒険者の能力(アビリティ)はD100による成功率パーセントで表現されている。
アビリティの値が"00"ならば成功の可能性がゼロである。

 

  • 決定的成功(クリティカル): 行為が非常にうまくいき追加の利益を獲得する。決定的成功は能力ロールの修正済みの成功率の1/20以下をロールすることである。01 をロールすると必ずクリティカル成功になる。
  • 効果的成功(スペシャル): 場合によって能力ロールの結果が、決定的成功ほどではないが通常よりも良いものになり追加の利点を獲得できる。効果的成功は能力ロールの修正済みの成功率の1/5以下をロールした場合である。
  • 成功: そのアビリティの値以下をロールしたらその行為に成功したこと意味する。D100 で01-05 をロールした場合は例え成功率がそれ以下だったとしても常に成功である。
  • 失敗:(修正要素を全て計算した)アビリティの値よりも大きい結果になった場合は失敗を意味する。ロールが96-00 の場合は成功率値がそれより大きかったとしても常に失敗である。
  • ファンブル: 特に悪い失敗がファンブルであり、失敗の可能性の1/20に等しい。ファンブルの可能性も状況により修正された最終的な成功率に基づいている。ファンブルは可能性があるなかでは最悪の失敗であり、たいていは災厄的な結果となる。対抗解決においてはファンブルは常に失敗よりも悪い結果である。

 

基本的に判定は百分率で成功率が提示されるので、直感的に成否の見通しが立つところがベーシック・ロール・プレイングシステムの良いところであり、基本はそれを踏襲しています。

オンラインセッションならば、ルーンクエストに対応したダイスボットツールを使うことで、効果的成功や決定的成功も自動計算してくれたりします。

 

【04】主な判定方法

ルーンクエストにおける判定は以下の3パターンが一般的。

■単純な成否判定
多くの知識技能判定のように、知っているか/知らないか、など単純な判定。

■対抗判定
競い争う両者が勝敗を決するための判定。
百分率で成功率が示される「技能」などの特性値で対抗を決するために用いられるのが一般的。
決定的成功 > 効果的成功 > 成功 > 失敗 > ファンブル、5段階の成否結果を比較する。
特殊補足:100%を超える成功率の場合、100%を超える差分を両者の判定から減算する(パッションなどによる一時的なボーナスは対象外)

■抵抗ロール
1回の判定で勝敗を明確にする判定、原則は引き分けは発生せず必ず優劣が決する。対抗判定とは異なり、百分率で成功率が示されないSTRやPOWなどの基本能力値を比較し、通常は能動的に振舞う側がロールを行う。
攻撃的な魔法の効果を望まない相手に押し付けるためにPOW対POWの抵抗ロールを行うことが、頻出する抵抗ロールの使用例。

 

具体的な事例を示してみましょう。

 

君たちはコリマー部族の最大の居留地、クリアワイン砦の酒場で食事をしています。
店の中はあまり混雑していないのですが、二人の若者が入ってきます。
旅の装いをした二十代前半の若者たちです。

彼らの腕や胸などに記されたトライバル・タトゥーを見て、どこの出身の者か知っているか判定するため〈知識/ドラゴンパス〉や〈INTの5倍〉の判定を行うのは、単純な成否判定です。

 

この判定に成功し、相手がコリマー部族の東に住むリスメルダー部族のグレイドッグ氏族の者たちだと気が付いたとします。コリマー部族とグレイドッグ氏族は仲が悪い、という設定をプレイヤーは聞かされます。

そしてゲームマスターキャラクターシートを指し示し、〈憎悪/グレイドック氏族80%〉と〈ルーンへの親和性/調和50%〉をそれぞれロールするように指示をしました。これはキャラクターの心的葛藤を演出するための対抗判定となります。

〈憎悪/グレイドック氏族〉の判定は成功、〈ルーンへの親和性/調和50%〉は失敗だったとします。この場合、グレイドック氏族への憎悪の方が勝ったというロールプレイの動機付けになります。憎いグレイドッグ氏族の若者を軽くシメてやろうという衝動に駆られた、といった感じです。

 

いきなりの殴り合いというのはいささか蛮族とはいえ暴力的すぎますね。殴り合い以外に勝負を挑む方法として、以下のようなものも考えられます。
・腕相撲で勝負、STR対STRの抵抗ロール
・酒の飲み比べで勝負、CON対CONの抵抗ロール
・徒競走で勝負、DEX対DEXの抵抗ロール
・謎かけ比べで勝負、INT対INTの抵抗ロール
・運試しの博打勝負、POW対POWの抵抗ロール

 

【05】ルーンとの親和性

グローランサでは、一般人からモンスターまで、ほとんどの存在が世界の本質であるルーンとなんらかの関係性を持つ。
ルーンとの親和性を高めることは、そのルーンを体現することに通じる。

ルーンは様々な元素、力、形態、状態などを種類がある。

  • ルーン魔術を使う場合、関連するルーン能力値がそのまま発動成功率となる。なお、ルーン魔術を使う場合、別途リソースとしてルーン・ポイントを必要数消費する。ルーン・ポイントの回復のためには礼拝儀式が必要となるため、原則としてシナリオ中の回復は難しい。
  • ルーンの力を引き出すことで、ルーンに関連した技能など能力ロールを増強(オーギュメント)することができる。これをルーンによる鼓舞と呼ぶ。ただし、増強判定に失敗すると逆にペナルティを受ける諸刃の用途である。
  • ルーンとの親和性は、キャラクターの個性にも強く影響を及ぼす。死のルーンとの親和性が強ければ、敵にとどめを刺すことに躊躇はなくなるだろう。真実のルーンとの親和性が強ければ、誓約を重んじるようになるだろう。

 

キャラクターシートには、元素のルーン6種類(風、火/天空、暗黒、水、大地、月)と、5対のルーン(豊穣と死、調和と無秩序、真実と幻影、静止と移動、人と獣)、全部で16種類のルーンが能力値として記載されています。

対となるルーンは合計が100となるようになっており、一方が成長して高まれば、対となる他方が同じだけ低下するようになっています。

 

ルーンとの親和性が高ければ、関連したルーン魔術の発動率が高くなるのでゲーム的には有利に働きますが、高すぎるとキャラクターの性格にも強い影響を及ぼします。

そのため、キャラクターが思ったように行動してくれないという場面が出てきます。

  • 豊穣のルーン:異性を口説いて性的関係を持ってしまう
  • 死のルーン:冷徹に振舞い恐れられる
  • 調和のルーン:同調圧力を発してしまう
  • 無秩序のルーン:自己中心的に行動してしまう
  • 真実のルーン:嘘をつけなくなってしまう
  • 幻影のルーン:嘘を思わずついてします
  • 静止のルーン:熟考しすぎたり頑固に振舞ってしまう
  • 移動のルーン:君子豹変や落ち着きない即断即決をしてしまう
  • 人のルーン:情に流されてしまう
  • 獣のルーン:本能的な直感に突き動かされてしまう

ある意味、このキャラクターが思い通りに動いてくれない状況を楽しむのもシステムが用意した楽しみ方の一つといえるでしょう。

 

【06】パッション、それは情熱

基本的なパッション(情熱)

  • 帰依:特定の神性への個人的かつ情動的な帰依。良いカルトの一員が必ずしもより献身的とは限らない。
  • 忠誠:自分の氏族や部族や個人や神殿などを含む社会基盤への忠誠。
  • 愛情:他の人物や家族のような小さな集団への感情的な絆や魅きつけられる感情。
  • 憎悪:氏族、部族、個人、都市、国家、種族といったものへの憎しみ。
  • 名誉:軍令への厳格さ、誠実さ、誇りなどへのこだわり。それには戦争や戦闘における正しい行動、同僚の尊重、他者からの敬意の必要性などを含んでいる。

情熱は、キャラクターの行動指針にも強く影響を及ぼす。

憎悪している相手との和平を受け入れられるだろうか?
忠誠を尽くす相手からの命令を拒むことができるだろうか?
愛情をそそぐ者の危機を見逃すことができようか?

 

プレイヤーとゲームマスターが合意すれば、新たな情熱を獲得してもよい。この場合、最低値は60%からの開始となる。ゲームマスターの判断により、もっと高い値から始まることもあるだろう。

 

基本的なパッション以外にも「不信」や「尊敬」、「喧嘩好き」「酒好き」「戦闘狂」などの極端な個性もパッションの一種として設定してもよいでしょう。

これもルーンとの親和性と同様に、キャラクターを突き動かす動力源であり、キャラクターの行動指針となります。

パッションを多く抱えていると、あちらを立てればこちらが立たずとジレンマを楽しめます。
パッションが少ないとジレンマは少なくなりますが、増強に使えるリソースが少ないというジレンマが起きます。

 

【07】技能で出来ること、増強とは

キャラクターシートに記載されている技能は多く、全てをチュートリアルで説明はできませんが、紛らわしい技能は補足説明しておきます。

 

技能の違いについて

〈雄弁〉は感情に訴え、〈言いくるめ〉は論理思考を惑わせ、〈威嚇〉は恐怖に訴える。引き付ける〈魅了〉には理由などない。
〈洞察〉は心理をとらえ、〈聞き耳〉は聴覚の鋭さ、〈視覚〉は視覚の鋭さ、〈捜索〉は隠されたものを探す観察力、〈追跡〉は足跡などの痕跡を見逃さない経験の蓄積。

 

グローランサ的な技能補足
・〈歌唱〉は口頭伝承を含む、ただ歌が上手いだけじゃない
・〈慣習〉は常識と読み替えろ、常識の違いが軋轢を生む
・〈合戦〉が低いと集団戦闘で負傷して戦死しやすい
・〈カルト知識〉はその神に関する神話知識の深さ
・〈穏やかな死〉とは屠殺のこと
・〈精霊戦闘〉は精霊に取り殺されない力

言語に関して
・ヒョルト語はサーター系オーランス人の生活言語
・ターシュ語はターシュ系オーランス人の生活言語
・新ペローリア語はルナー帝国の公共言語
・交易語は商売人や旅行者向けの語彙、商売以外の語彙は貧弱
・嵐語はオーランス神に関係する特殊な魔法的な言語
・大地語はアーナールダ神に関係する特殊な魔法的な言語

 

 

ここまで何度か「増強(オーギュメント)」というものが出てきているので、その説明です。

 

適切な場面で、能力を他の能力を支援するように使用して、他の能力が成功しやすいように増強するために組み合わせることができます。
組み合わせる能力はその行為に明確に関連してなければならず、ゲームマスターの許可を得なければなりません。
それぞれの1つの場面では、能力ロールにおいて行える増強は一つだけです。

 

例えば
・歌いながら踊ることで、〈舞踏〉技能ロールに対して、〈歌唱〉技能を増強として用いる
・動物を熟知して騎乗するなら、〈騎乗〉技能ロールに対して、〈動物知識〉技能を増強として用いる
・憎いグレイドッグ氏族を倒すため、〈ブロードソード〉技能ロールに対して、〈憎悪/グレイドッグ〉パッションを増強として用いる
・速く走るため、〈DEXの5倍〉能力値ロールに対して、〈移動のルーン〉を増強として用いる
・嵐語を唱えて魔術を使う、ルーン魔法発動のための〈風のルーン〉ロールに対して、〈嵐語会話〉技能を増強として用いる

 

増強として用いた能力を先にロールします。この判定の成否にかかわらず、結果に応じてボーナスやペナルティが増強先に効果を適用されます。

  • 決定的成功:希望していた特性に+50% 加算する
  • 効果的成功:希望していた特性に+30% 加算する
  • 成功:希望していた特性に+20% 加算する
  • 失敗:希望していた特性から-20% 減算する(パッションによる増強ならば-10%)
  • ファンブル:希望していた特性から-50% 減算する

ゲームマスターの裁量で、冒険者は1つの技能を使用して別の冒険者の能力を強化できます。
・踊り子にあわせて歌を歌う、踊り子の〈舞踏〉技能ロールに対して、歌い手の〈歌唱〉技能を増強として用いる

 

メリットとデメリットを考えると乱発することはお勧めしません。
成功確率が20%を下回る絶望的な判定を成功させたいと思うならば、増強は行うべきでしょう。
50%以下の特性値を増強に用いると、逆に不利になりやすいので避けるべきです。