ウィザー日記 改め ホビー日記

徒然と趣味のことを綴る雑書

アランの子らの氏族の物語、第二話の舞台裏を回想する

前回のセッションの補足

さて、七母神の入信者を中心とした難民たちを受け入れるため、アランを中心とした冒険者たちは新たな氏族設立を決意しました。

七母神の入信者の大半は1602年のサーター王国陥落後に生まれた若者たち。父母がルナー帝国許すまじと怨恨の情を注がれて育ったものがいる一方で、ルナー帝国の先進的な教えに感化され、オーランスやアーナールダよりも七母神を身近なものとして育った者たちもいました。部族への忠誠心と七母神への信仰心を併せ持つ者たち、それが難民たちの素性でした。

七母神のカルトで得た先進的な医療知識、薬学知識、陶器製作の技術など、様々な専門技能を有する者たちを多く含んでいました。着の身着のままで追放され星の火山嶺にたどり着いた者たちであり、家畜は一切連れていない状態です。

喰わねば人は死にます。一行は二百人近い難民を養うため、それに見合った家畜を手に入れなければならず、何よりもそれは切実な問題でした…

 

冒険者は集う

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ドナンダーの楽士は語る、コリマー部族の英雄たちの物語を。
今宵語る物語、讃えよ勇者たちの名を。
ルノールの子らの氏族のビョルン、死神フマクトの剣士。
アーナールドリ氏族のガーラントオーランスの戦士。
ダック族のルイス=バーグ、イサリーズの使者。
アーナールドリ氏族のジョージ、祖霊の声を聞くまじない使い。

 実は全三回のミニキャンペーンですが、参加プイヤーは出たり入ったりしております。

新たに氏族長となるアラン担当プレイヤーは都合がつかず欠席になっていたので、「氏族の生計を工面するため近隣氏族に援助依頼や、ワイターを得るために様々な兆しを調べに奔走している」ということになっていました。

この面々に加えて、前回の部族ミッションで目付け役の一人として同行していたアーナールダ入信者と、荷運びの従者二人をNPCとして同行させてのセッション開始です。

 

獣の血が扉を開く

食糧問題が差し迫った課題となっている状態で、大熊が目撃されたと知らせが。まだ雪が降る厳しい季節に、野山に分け入って狩猟を行うのはリスクは高いものの、自分らの食い扶持を稼ぐため、一行は大熊退治に出かけます

岩山の洞窟付近で大熊を発見し、おいしく頂くために矢を放ち剣を振るって仕留めます。

そして、その血が岩場に流れ落ちた時、不思議な感覚が…かつて古の神話時代には大地の女神の聖所であった洞窟で、大地の女神の聖なる日に、供物となる獣を仕留めて血を大地に注ぎ…様々な条件が偶然そろい、神代の出来事を再現する儀式が偶発的に始められることに。

 

もちろん、偶然と書いて、シナリオの都合と読むのですがね。

事の起こりは遥か昔、神々と人が交わりし神話の時代。
星の火山嶺の民を滅ぼし巨人族、報復に参じたオーランスの刃に打ち倒されん。
されどオーランスの眼を逃れし巨人あり。
逃れし者の名は、チビのオルガル、片目のゴルガル、火の魔神オルガル=ゴルガル。

火の巨人オルガル=ゴルガルは民より奪いし宝あり。
牛のごとく恵みをもたらす赤き魔法の大羊、羊を操る銀の角笛、そして数多の奴隷たち。

 星の火山嶺は、神代の時代に、天空より火の巨人たちがやってきて、地元の人の一族を滅ぼした、という出来事がありました。その巨人をオーランスら嵐の神々が打ち滅ぼしたというのです。

今回のシナリオではその出来事にアイデアを得て、ヒーロークエストを行ってもらうことにした次第です。

〈アーナールダのカルト知識〉や〈オーランスのカルト知識〉や、その他さまざまな知識技能の判定の結果、以下の情報がプレイヤーに提示されます。

  • 偶発的な供儀の儀式により、岩山の洞窟が物質界と神界を繋ぐ英雄界と化している
  • この洞窟は大地の女神の眷属である蛇姫なる半神の領域に繫がっているようだ
  • かつて人々から家畜を奪い、人をさらって奴隷とした火の巨人が逃げ込んだ道を見張っているという。
  • 奪われた家畜は魔法の大羊の群れ、魔法の角笛で羊の群れを支配して連れ去ったという
  • また、多くの民が連れ去られ、奴隷として捕まっているという

 

 英雄界に踏み込む探索行は非常に危険であり、無事に帰れる保証はありません。普通ならば偶然道が開かれたからといって、準備無しに進むのは無謀すぎるのですが…ルーンの親和性の判定をしてもらうと、不思議とみな無謀な冒険に意欲的となりますw

新たな氏族の飢えをしのぐため、英雄たちは旅立たん。
封印の地に贄の地を捧げ、風と大地、死と霊、人ならざる人、全ての鍵の揃いし時きたれり。
まじない使いの導きで、この世とかの世は繋がれん。
暗き闇の道の中、道案内するはイサリーズ、迷うことなどありはせぬ。

かくして、一行は魔法の大羊を連れ帰るというヒーロークエストに挑むのでした。

 

蛇姫に歌を捧げた対価

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 巨人を封じる地への道、行く手を阻むは蛇眼の姫神
探索者たちに呪詛を吐く。
呪いを受けしは死神の剣士、呪詛はその眼を閉ざしたり。

延々と続く洞窟の先で、半蛇半女の半神に遭遇。巨人を封じる番人のようですが、一行が怪しい者ではないと看破し、通してはくれそうな感じです。

ゲームマスターとしては巨人オルガル・ゴルガルについて情報提供者として配置したNPCであり、退屈な番人の役割に飽きた彼女を楽しませることができたなら、巨人の館へ忍び込む方法のヒントを与える予定でした。

 

死神フマクトに仕える剣士ビョルンが〈歌唱〉で蛇姫を讃えようとしますが…出目はいわゆるファンブルってやつ。

ヒーロークエスト中のファンブルなので、そこはしっかり拾ってあげるしかないですね。アーナールダのルーン魔法リストをちらりと確認し、アドリブでその結果を采配することにします。

『見当違いのお主の賛美の歌は聞くに堪えぬ、別のおなごに愛を捧げるが良い』ということで「次に目にした女性に対して、盲目的な愛情(パッション)を特性値100%で得る」という呪詛を授けてます。

一行の中にはアーナールダ信徒のNPCもいるので、慌てて目隠しをして異性を目にしないよう対処するビョルン。

布で目隠しをすることでなんとか呪詛の発現を先延ばしにします。もちろん、目隠ししている状態だと、戦闘含めていろいろペナルティはありますが・・・

 

火の巨人の館

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盲いた剣士の手を引いて、七人の旅は続いたり。
ついに辿り着きしは巨人の館、人の倍の倍の高さの柵砦、さらに倍の高さの大館。

豪胆なるはガーラント、大声響かせ名乗りあげ、巨大な扉を解き放つ。
策を巡らせしはダックの舌、ユールマルの霊感受けて一夜の宿を勝ち取らん。

 蛇姫の領域の先は、火の巨人が逃げ込んだ隠れ里。

巨人のオルガルは飲み水は必要としませんが、奴隷となった従僕と羊のために水を汲みに出ていた奴隷女性と遭遇。巨人の館の場所を把握しますが、どうやって巨人から羊を分捕るかはノープラン状態です。

蛇姫との遭遇でヒントをもらい損ねているので、この流れはしょうがないところです。

 

結局は正面から名乗りを上げて「客人」としての一晩の宿を求め、とにかく館の中に入り込むことにします。

さて、呼びかけに応じて登場したのは身の丈4メートルの巨人。チビというのは神代の巨人基準との比較であり、一行からすると驚異的な存在です。

当時用意したデータを引っ張りだしてみました

 

■落ちた天空の巨人オルガル・ゴルガル

4メートル、750キログラム、【STR39】【SIZ39】

火炎の剣55%(3D6+4D6ダメージ)、全身の皮膚/装甲10点

ルーン親和性:無秩序95%、天空/火80%

情熱:強者のうぬぼれ80%、愛情/酒と旨い肉70%

備考:通常の巨人同様に感情に影響する魔法への耐性あり

 

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データはプレイヤーには見せてはいないものの、正面から斬りあって勝てる算段は低い難敵という印象はつけられた様子でした。
必死に様々な魔法やリソースを費やして、巨人相手の〈雄弁〉と〈言いくるめ〉に成功し、旅人として食事と宿をあてがわれます。

 

盗みというのも一つの武芸なり

闇夜に紛れて大胆に、オーランスの技は行われん。
闇を歩きしガーラント、その姿を見れる者は無し。
巨人の蔵の奥深く、隠されし角笛を見出さん。
されど風の民のサガ、他の宝に目がくらみ、巨人に見つかり、ありゃ大変。

巨人の奴隷となっていた女性からも情報を聞き出し、魔法の大羊が飼われている柵、その羊の群れを牧草地と行き来させるために使われる魔法の角笛、そして角笛を含む財宝が普段しまわれている蔵について知ることができます。

ここで一行は火の巨人との戦闘を避け、①魔法の角笛を盗み出す、②魔法の角笛を使って羊の群れを盗み出す、③あとは巨人に追いつかれないよう頑張って逃げる、というオーランス人らしいアバウトな計画を立てます。

 

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《闇のサンダル》のルーン魔法を使ったガーラントが闇夜に乗じて角笛の奪取に挑戦します。まあ、これは簡単に成功し、魔法の角笛を入手します。

他にも蔵には人間にとっての財宝が転がっており、ガーラントは一振りの剣をついでに頂戴することに。

 

ゲームマスターとしてはプレイヤーキャラクターたちに英雄らしく強くなってほしいと願う面と、英雄らしくピンチを克服してほしいと思う面があります。わざとらしく配した名剣は凄まじい警戒の異音を発し、火の巨人を目覚めさせます。

 

巨人との追走劇

逃げる一行、追う巨人。
羊連れて逃げるダック、家畜盗人を追う巨人。
囚われ人連れ走る剣士、奴隷を追って走る巨人。
大地を響かせ巨人は迫り、ついに窮地は極まれり。 

一行は角笛を使って大羊の群れを盗み出し、囚われていた奴隷の首輪を断ち切って解放し、一目散に巨人から逃れようとします。

 

シナリオ作成時点では、ここでチェイス(追走劇)のルールを使って一進一退の場面を演出する予定でした。巨人はあまりにも強大なため、正面対決をした場合、よほどのことが無い限り冒険者の多くを殺すことになるだろう、と算段していました。

ゲームマスターが考えていた勝利パターンは、

  • 巨人の武器を無効化する(館にいるうちに盗んで隠す/武器破壊ルールで砕く、等)
  • できるだけ近接状態を避けて弓矢の貫通が発生することを期待する

というものであり、正面からの全力での殴り合い斬りあいをすれば、巨人側が非常に優位とシミュレーションしていました。

 

しかし現実は小説よりも奇なり

窮地に至り囚らわれし者たち盲いた剣士を癒したり。
再び光を得たその瞳、剣士は愛する者を見つけたり。
愛する者を救うため、剣に誓うは巨人の死。
ここに巨人の定めは定まれり。
死神の祝福は定まれり。

すぐに追いつかれてしまった一行は、巨人との正面からの斬りあいをするハメに。

覚悟を決めたフマクト剣士は目隠しを外し、守るべきものたちを一瞥し、巨人に相対します。他の者も絶望的な戦いのため、魔法を使って戦闘力の底上げをしていきます。

 

しかし、ここで想定外のことに二つ発生します。

  • 追いついた巨人が攻撃でファンブル、自分の腹部を誤って痛打しいきなり大負傷
  • 追いつかれたビョルンが攻撃でクリティカル、分厚い皮膚を貫き致死的な損害

あのー、一瞬で巨人が死にましたが・・・

振るいし刃は死の一閃、一刀両断、巨人の胴を撫で切れり。
あわれ巨人は真っ二つ、オルガル=ゴルガル真っ二つ。

はははっ、これだからダイスを使うゲームは何が起こるかわからなくていいですね。

 

そして伝説が語られる

関連画像

英雄たちは帰り立つ、魔法の羊を三百引き連れて、かの世よりこの世へ舞い戻る。
英雄は帰り立つ、時の流れの果てに姿を失いし囚われ人を連れて、かの世よりこの世へ舞い戻る。

かくしてアランの子らは糧を得たり、ひとときならぬ糧を得たり。

コリマー部族は新たなる英雄を迎えたり。
その名は巨人殺しのビョルン、蛇姫の呪いを受けしビョルン、十二の見えざる従者を率きいしフマクトの剣士。

 もはや、あとは凱旋の演出をするだけです。

火の巨人を倒した一行は、追手を気にすることなく大羊を連れて英雄界から物質界への帰還を果たします。

  • 魔法の大羊。英雄界で見た時よりは少し小さくなったが、それでも牛のように大きな羊。乳をとったり、羊毛を刈ったり、食肉にもなる。羊毛は白ではなく鮮やかな赤色。難民たちの糧として十分な量。
  • 銀の魔法の角笛。ダックのルイスが持ち帰ったが、物質界では角笛の形を失っていた。ルイスの嘴に宿る魔力となり、グワッという鳴き声以外に、角笛と同じ音色が発せることができるように。その音色で羊を支配できるように。
  • ガーラントが持ち帰った魔法の剣。同じく鋭い名品。厄介ごとを呼び寄せるというジンクスも一緒になっているようで…
  • 首輪を外され解放された奴隷たち。この世界では姿は見えず、声は聞こえていない。情熱で結びを得ているビョルンを除いて。

 ヒーロークエストについては正式にルーンクエスト四版ではルール化されていませんが、HERO WARSにおける異界での冒険を参考にしてみました。

 

さて、アランとその仲間たちが受け入れた難民たちは、大羊という素晴らしい家畜を得て飢え死にの危険は逃れることができそうです。あとは、共同体を守護するワイターを得られるかが問題として残っています。その詳細は、また別の機会に。

 

※1年以上前のセッションを振り返っているので、多少の記憶違いはご容赦ください。

wizthewizard.hatenablog.com