ルーンクエスト・リプレイ
風の剣を求めて#2
商人失踪 (ディレクターズカット版)
システム:ルーンクエスト3版
プレイ時期:はるか昔
冊子の奥付から1992年6月にリプレイにしたことが判明。
プレイグループで「なんとかく活動記録」として残してみよう、というノリで始まった。
長期のキャンペーンだから過去の出来事を思い出せるように、というのが理由だった気もする。
ソードワールドの公式リプレイが全盛期だった時期とも重なるので、自然とリプレイ書いてみようよ、だったかも
- 序文
- 登場人物紹介
- 本編1 白亜の壁
- 本編2 白昼の大喧嘩
- 本編3 白髭の司祭
- 本編4 焦茶の丘村
- 本編6 黒鉄の斧、白刃の剣
- 本編7 紫紺の美酒
- 本編8 黒衣の剣士たち
- 本編9 蒼き首飾り
- 本編10 赤月の宴
- 本編11 赤き短剣、血..
序文
19年前、北方の大帝国であるルナーの侵攻によりサーター王国の首都ボールドホームは落城した。
サーター王の血筋が絶えることはなかったが、前王は死亡し、現サーター王テマーティンはルナーの傀儡と化し、サーター王国は事実上崩壊した。
テマーティンはルナー帝国より多額の援助金を受け、ボールドホームは修復された。
しかし再建したボールドホームばすでにオーランス人の中心ではなくなった。
オーランス神の社は取り壊され、ルナーの兵士が集い、傀儡王テマーチインに代わって地方官が統治を行う…現在残っているサーター王国とは、ルナー帝国がドラゴン・パス地方を支配するための隠れ蓑にすぎない。
現在サーターの首都ボールドホームは完全にルナー帝国の支配下にある。またサーターとルナー帝国の中問にはターシュ王国があり、そこは130年前にルナー帝国に吸収されている。
ボールドホームの落城の3年後にはマニリアの強国「聖王国」がルナーに制圧され、南国エスロリアもルナー勢力を認めることになる。
近年になつてハートランド一帯もルナー勢力に侵攻され、ホワイトウオールはオーランス信徒にとって最後の牙城になろうとしている。
"混沌"もグローランサ世界の一部であると認めたルナー神殿、"混沌”を絶対悪とするオーランス神殿、この二つの宗教の争いがルナー帝国とサーター王国の大戦争として表面化したのである。
グローランサ世界における神々は自然の現れであり,周囲に存在するカである。
そのためグローランサにおいては宗教=組織という体制が容易に成り立ち、宗教の争いは戦争に発展する。
これほどまでにルナー帝国の勢力は広まっており、ドラゴン・パスはルナーの手中に落ちかけている。
しかし、サーターの最後の英雄アーグラス王子が束の荒野で軍勢を集めているとの噂もある。
また、オーランス神の神界での勢力を回役するための探索行も行われようとしている。
ルナー帝国にとつて最悪敵である粗野な英雄"暴れ熊"ハレックがハートランド周辺海域で海賊を率いてルナーの都市を襲っていることも事実である。
この混沌とした時代は"英雄哉争"によって終結すると予言されている。アーグラス王子やハレックのようにルナー帝国と闘う英雄になるため、オーランス人の男達は戦い・傷つき、強くなろうとしている。
ザーター王国が幻となっても、サーターの理想を引き継いだ英雄がいる限り、王国の戦士達は民を率いて帝国に戦いを挑むのである。
ある者は剣を取り反乱軍として、ある者は銀貨を武器に、ある者は言葉を武器に…
"暗闇の剣士"アルゼル、"突風"ガザ、"優しき雄牛"ドク、"狂風"ラーグ、彼らとて英雄になる可能性を秘めた戦士なのである。
この物語は"英雄戦争"に関与する伝説の剣を求める探索者の物語の序章である。
※その探索が成功するか否かはまだきまっていない (笑)
当時のゲームマスターが入手できる情報を元に、こんな状態だよ、とプレイヤー向けにまとめたものが序文になってます。
現在入手できる情報とは少し異なる解釈していたことも伺えます。
当時は「カルト」が全ての中心という見方をしていましたが、カルトの宗教的意見だけで全てが決まるわけではない、と受け止め方も変化しました。
他にも「聖王国」についての理解度が、当時はまだ解像度不足といったところは否めないですね。
登場人物紹介
“暗闇の剣士”アルゼル:後に“死神殺し”の名誉を勝ち取ることになる戦神フマクトの信者。中立を宗とするフマクト信徒でありながら、オーランス部族の長の息子としても闘わねばならないようだ。行方知れずとなっている族長である父親を探して旅をしている。今回もほとんど主役。
“突風”ガザ:後に“二つ名の射手”と呼ばれることになるオーランス信徒。今回はお休み
“魔道戦士”シオン:後に“呪われし者”となるセイフェルスターより流れ着いた謎の男。今回はお休み
“優しき雄牛”ドク:混沌の抹殺者ストーム・ブルの信徒。相変わらずブル信徒らしからぬ行動が多い。混沌退治の放浪の旅を続け、修行の毎日である。渋いオッサンのはずなのに、なぜかボケをかましてくれる。
“谷間風”フィーナ:宝石大好き、お酒大好き、ご馳走大好き、ケンカ大好きな困った姉ちゃん。典型的なオーランス信徒のサンプル? 冒険の目的は冒険する事。
“狂風”ラーグ:後に“風の剣”と呼ばれるかもしれないオーランスの戦士。消えた妹を探して旅をしていたが、同じ部族のアルゼルに再会してからは遊んでばかり
前回セッション後に続きを遊ぼう、ということになり、セッション参加の都合がついたアルゼル、ドク、ラーグのプレイヤーを集めてセッションを開催。
ちなみに「謎の男シオン」は、プレイヤーとしての参加ができないゲームマスターの執念が生み出した準PCのような存在だったが、シナリオ内容考えたときに動かしにくそうだったので今回は欠席扱い
本編1 白亜の壁
今日の冒険はホワイトウォールから始まる。
前回の騒ぎのため、冒険者たちはエスロリアにはいられなくなったからだ。
共に探索を行ったガザはケタエラ南部を旅するといい、アルゼル達との再会を晢う。シオンもまたガザと共に南部に留まり魔術の研究をするという。
ホワイトウォールに向かった冒険者たちも、合間の時間を有効活用し、技能の訓練や研究にいそしむのであった。
(GM:おいアルゼル、なんで〈盾攻撃〉なんか鍛えるんだ?)
GM:今は火の季の35日目,カレンダーを見ると…静穏の道の神の日だね。なんかこうやって言うとかっこいいなあ。
さて君達がいる場所はホワイトウォールの城壁前だ。十数年前ルナー帝国の圧倒的な軍事力の前にボールドホームは落減し、サーター王国が事実上崩壊してしまったことは誰でも知っていることだ。わかんない人は序文を読みかえしてくれ(笑)。
各地でルナー帝国の勢力が強まる中、ホワイトウォールはオーランス信徒の最後の砦となっている。かなりの大都市で、君達の眼前に都市を守っている壁がドーンと立っている。ここの城壁は高く、完全武装の兵があちこちに見える。
ルナーのスパイが入り込まないように厳重な警備がされているようだ。各城門では厳しい検査が行われている。
ホワイトウォールでは人々の往来も多く、都市内での帯剣も許されているので武装した者も目につく。君達が城門に近づいて行くと門番が立ちふさがり検査を始める。
GM/衛兵:『旅人よ、この白亜の壁に何用で参った?』
アルゼル:『旅の途中なのだが』
GM/衛兵:『邪悪な赤月の信者でないならば、己が信ずる神々のルーンにかけて証を立てよ』と言う。
兵士の鎧や兜に十字の印が刻まれているので、彼らがフマクト信徒とわかるだろうな。まあ嘘を言ってもこの 門には《真実検知》の呪文がかかっているからすぐにわかる。嘘つく奴はいないね(笑)。君達が神に誓いをたてると、その言葉に偽りは無いようだと城壁の中に入れてくれる。当然入城税がかかるので2ソヴリン程払っといてくれ。
街の中の様子は屋台や露天商などが立ち並び、サーカスの一団やトリックスターが奇声をあげながら踊っていたりする。その横でイサリーズの商人が塩や武器を売っている。ただし、さっきも言ったように他の街に比べて 武装している人が多い。この活気溢れる街には2万人ほどの人々が住んでおり、オーランス神殿の神々の寺院が 所々にある。オーランス人の街だけに洗練されているとは言えないけれど、生命溢れる街といった感じだ。下町が巨大化したと思ってくれ
ドク:巨大化した下町って、なんて説明だよw
アルゼル: その辺の人に宿の場所でも聞こう。
GM: この街には十数軒はあるようだけど?
アルゼル:じゃあ金に少し余裕があるから中程度のところに行こう。
GM:君達はその中で『風の剣』 亭と呼ばれる酒場兼宿屋に行った。中を見渡すと結構客がいるそこそこ良い宿 だ。君達が酒場に入ると、店の親父が君達の大きな荷物を見てから話しかけてくる
GM/宿屋の主人:『一泊15ソヴリン、飯抜きでいいなら8ソヴリンだ』
ラーグ:まあここは飯付きで払っておこう。
ドク:風の関係の寺院があるということは、ストーム・ブルの寺院もあるのかな?
GM:オーランスの大寺院があるので、友好カルトとして社もあるよ。社ではなく小寺院ぐらいありそうだね、ストーム・カーンもいるんじゃないかな。
ドク:そっちに挨拶に行こう。アルゼル、お金貸して。精霊呪文も覚えてくる。
アルゼル:200ソヴリンでいいな。
GM:他の人はどうするの?
アルゼル:ここにいる。
ラーグ:同じく
GM:はいよー。ちなみハートランドはサーター王国とは異なる国なんだけど、ルナー勢力に押されているだけに国内ではオーランス関係の寺院はかなりなりを潜めて いると思ってくれ。表に出ているのは大地の女神アーナ ールダの寺院であって、その脇にオーランスのがあるという情けない話なんだ。しかしホワイトウォールには、 屋根のない広場があって、柱が何本も立っていていかにも一発でオーランスの寺院とわかるよ。そっちの広場へドクが行って獣のルーンを探すとほこらのようなのがド ーンと立っている。その脇ではそこから出てきた戦士が『あちらから・・・混沌の匂いが・・・』と呟いている。
ドク:いいなぁ、〈混沌感知〉の成功率高い人は。俺な んか22%だもん。『こんにちは』と入って行こう。
GM:中にはいると大ジョッキでエールを飲んでいる大男がいる。
GM/ブルのルーン王:『この野郎!ブルの信徒がお上品に こんにちはなどとぬかすんじゃねぇ!!』
ドク: (ひえー) 『こいつは失礼しました』
GM:大体20代半ばぐらいに見えるのに年上を年上と 見ない所を見ると、偉い人のようだ。
ドク:俺は威圧感によわいんだよなぁ。 『ブ、ブル神に祈りを捧げに来ました』
GM/ブルのルーン王:『それは良いことだ。それより何用で参った。祈りは何処ででもできる。ブル神はいつでも我々を見守っ ていてくれるからな』
ドク:『どこぞに混沌の匂いのする所は無いですかね。 でも酒を飲んでいる所から察して、そのような所は無い ようですな・・・』
GM/ブルのルーン王:『確かに平和だ、何も無い。なんてこった、俺の することがないじゃないか!』
ドク:『平和な方がいいじゃないですか』
GM/ブルのルーン王:『貴様本当にブル信徒か!?』と言われるぞ。ま あ寺院に来たのだったら丸一日寺院にこもって神性呪文 を貰ったり、精霊呪文を取ることもできる。当然有料。
ドク:へっへ、このために金を借りたんだい。《破裂》 と《治癒2》が欲しい。
GM: するとオーランス寺院の広場を勝手に借りて教えてくれる。費用はぴったり200ソヴリンだ。夜までか かるぞ。おまえのバカ高いPOWなら精霊戦闘は省略し ていいだろう。
ルーンクエストでは魔法は大きく分けて三種類存在します
精霊魔術は、呪文を知る精霊と霊的戦闘 (精霊戦闘と言う)を行い、精霊に勝てば呪文の知識を奪い取り使えるようになります。一番簡単に修得できるので、この世界の一般人は大抵少しは精霊呪文を知っているはずです。
神性魔術は神々に自分の魂を分け与え、その見返りと して一度だけルーンの魔力を引き出せるようにするのです。ルーンの魔力は偉大ですが、魂の一部が代償となるので軽々しく使われることはありません。
魔道魔術はひたすら学習を繰り返します。世界の諸現象の知識を吸収し、その原理を理解し、魔力を使ってその原理を動かすのです。修得するのに精霊魔術や神性魔術よりも時間が必要になるので、実践者は極めて少ない魔術体系です。
ここでドクが覚えた《破裂》と《治癒》は精霊魔術ですから本来は精霊戦闘が必要なのです。しかしGMが面倒と思ったのでルールを無視して呪文を与えてしまった のです。
ちなみにルーンクエスト3版で「神性魔法」と呼称されていたものは、RQGでは「ルーン魔法」となり、ルールもだいぶ変わってます。
詳しく知りたい人はコラム参照してね
本編2 白昼の大喧嘩
GM:では少し戻って残った二人。お前さん達が店を見渡すと酒場は多くの人でにぎわっている。凱旋したオ ランスの戦士やら大損してやけ酒をあおっているイサリ ーズの商人などがいる。それ以上に多いのはただ騒ぐことを楽しむためにいるオーランス人の男達だ。
アルゼル:軽い食事でも取ってボーッとしてよう。
ラーグ: 俺もそうしよう。
GM: するとしばらくすると、結構きわどい格好の姉ちゃんが近くの席に座る
GM/フィーナ:『 酒よ酒、美味しいお酒を出してね』
アルゼル:その姉ちゃんをチラと見ておこう。
GM:店に入ってきたときはベサント革鎧なんかを着てい たようだけど、借りた部屋に荷物を降ろして酒場に戻って来たときには、肌もあらわといった感じの服装になっていた。二の腕とか太股の見える革の服を着ており、へそも見えるくらいだ。 ルックスは並以上だよ。ただ、腰にはブロードソードを下げている。
アルゼル:まあ無視して親父とでもしゃべっていよう。
GM:すると最近来るはずの伝令上が来ないという話が 聞ける。
アルゼル: (にやりと笑う) 仕事の予感。
GM/宿屋の主人:『最近手紙も伝わってこないし、ボールドホーム の方からの情報はルナー帝国と目と鼻の先にある関係上 一番大切なんだがね。なかなかうまくはいかないようだ よ。伝令士が明日になっても来なかったら次の伝令士が 来るだろうからそいつから聞けばねぇ』
GM:ちなみに酒場の中はさっきのイサリースの商人が酔い潰れてしまう中、凱旋したオーランスの戦士が『・・・そこ で俺は剣を振るった訳だ!』と自慢話を大声で吹聴している。
ラーグ:この手のは必ずいるな。
GM:突然、バッシーンと派手な平手打ちの音と、それ以上に大きな叫び声が酒場に響き渡る。
GM/フィーナ:『このスケベ野郎!!』
アルゼル:なんだ?
GM: 君がチラリとそちらを見ると、西方なまりのサー ター語でさっきの姉ちゃんが怒鳴っている。その周りに かなり酔っぱらった感じのゴロツキが四、五人程囲んで いる。しかもその顔には殺気ではなく別の感情がこもっ ている。
アルゼル:鼻の下が伸びてるねぇ(笑)
GM:まあ酔っぱらいも度が過ぎてるね。ちなみに姉ち ゃんは腰の剣に手をかけている(笑)
アルゼル:おいおい! 相手は何人ぐらいだ?
GM:五人程だよ。
アルゼル:そっちに歩み寄る。ラーグお前は来るなよ。
ラーグ:見といてやろう。
前回のシナリオで、簡喧嘩騒ぎで抜剣し、何人も死者を出して大騒ぎを引き起こしたラーグのことを警戒していた様子
GM:アルゼルが歩み寄ると男衆が女性を囲み、 『姉ちゃん、姉ちゃん一緒に飲もーぜ!』と絡んでいるようだぞ。
アルゼル:じゃあそいつの首辺りをムンズと掴んで後ろに投げよう。
ドク: そんなに筋力あった?
GM:じゃあ相手のSIZ12と、君のSTR15で抵 抗ロールをやってもらおう。数値差が3だから成功率は 65%だ。
アルゼル:失敗
GM:ならば投げずとも頭を引っ張ったことにしよう。 酔っぱらいは『なんだ、てめーは?』と君をにらみつける。いいところを邪魔すんじゃねえ!という感じだ。
アルゼル:じゃあデコピンで鼻をパンとやってやろう。
GM:なら今まで下品に姉ちゃんを見てた連中も『この野郎!』と身構える。ちなみに周りの客たちは見物人として『いいぞ、やれやれー!』とはやし立てている。
ラーグ: 『危なくなったら加勢するぞ、ハッハッハッ』
アルゼル:来なくていい!
GM: 姉ちゃんは一人でやらずにすみそうになったから 剣から手を離しかけているけれど、どうするかな?
アルゼル:『俺が相手をしてやろう、表に出ろ』
GM:君が店の外に出ると『面白いじゃねーか!』と手をバキバキ鳴らしながら君達を囲む。
ラーグ:俺も見物しに出て行く。
GM: 『おうおう兄ちゃん、謝るなら今のうちだぜ!』 『へっへつ、俺たちゃその姉ちゃんに用事があるんだからよ!』とパターン通りの言葉を吐き、お姉ちゃんは放送禁止の罵詈雑言をあびせている。かなり短気だ。
アルゼル:適当な場所で身構える。
GM:君が身構えるとゴロツキはまたもやパターン通り に『やっちまえ!』だ。では君の現在の武装は?
アルゼル:右腕にプレートの小手、それ以外は普通の衣服だ。あと帯剣している。
GM:まずはA~Cの三人が君に、DとEがお姉ちゃん に飛びかかる。全員第8SRに攻撃だ。お姉ちゃんは一人を蹴りとばす。
アルゼル:誰かを足払いで転ばせる。
第1ラウンド。まずはアルゼルがAの足を払い転倒させる。姉ちゃんはDの左腕を蹴り折る。しかしアルゼルは Bに左足を殴られ、続くCがクリティカル! 小手をへこませてダメージを負わせる。第2ラウンドへ。
GM:転んだ奴はこのラウンド起き上がろうとする。残りはまた攻撃だ。アルゼルには『何だそのプレートの小手は? 飾りか!』と挑発がとぶ。
アルゼル:『さあもうどこかへ行け!』と言いつつ拳で 受ける。
GM:お前の方が不利に見えるぞ(大笑)。
ラーグ:よし、加勢するぞ。倒れてるのに膝を落とす。
GM:移動もあるから第10SRだな。
第2ラウンド。アルゼルの言葉は無視され、BとCがボディブローを放つ。お姉ちゃんの《破裂》はEの胸を血に染める。ラーグの膝落しは効果的成功、Aの右足が複雑骨折の鈍い音を響かせる。
GM:喧嘩の騒動を聞きつけたのだろう、『どけどけどけどけ!』という声が聞こえてくる。都市の衛兵が三人くらい走って来るのが見えるぞ。
アルゼル:またごやっかいになってしまうー。でも今度は剣を抜いてないさ。
GM:衛兵たちは君達をジロリと見渡す。ちなみにリング メイルの上にプレートという豪勢な装備をしている。ゴロツキのうち脚を怪我した奴は逃げ遅れて捕まっている。他のゴロツキたちは逃げ出したようだ。
GM/衛兵:『この騒ぎは一体なんだ!』
アルゼル:説明しながらでも《治癒》をかけたい。
GM: いいよ。〈応急手当〉をやればトータルHPも回復するよ。
ゲームマスターのGMのルール理解ミスがあり、精霊魔法の《治癒》で治せるのは部位HPだけでトータルHPは治らない、というマゾい運用で進められていた。
アルゼル:結局MAXに戻った。
GM:そういうことをやっていると、そのお姉ちゃん、ちなみにフィーナというオーランス信者、と君達とゴロ ツキは調書と罰金を取るから詰所まで連れて行かれる。
さて君達が詰所を兼ねているオーランスの大寺院に連れていかれると、呪文伝授の儀式を終えたドクと偶然出合うぞ。追加説明をするならさっきの衛兵は全員オーランス信徒 達で、“風の王”の部下だよ。
ドク:先導しているのが思いっきり警備兵でしよ。『また何かやりやがったな』そっちの方へ行って『今度 は何やったんだ?』と聞こう。
アルゼル:『なんだその今度というのは?』
ドク:『アルゼル、お前はこういうことはやらんと思っていてのにな』
アルゼル:『まてまて!』訳を話そう。
ドク:『成程な。確かにこんな姉ちゃんじゃうなずけるな。でもケンカはやめなさい』
GM:そんなことをしてると年の若いオフラムという司祭が近づいて来る。君達を見て『聞いていたのより一人 多いな』と言い、兵士も『おかしいですね?』と言い、 ドクに気が付いて『なんでこんな奴がいるんだ?』とうなっている。
ドク:『私一応こいつらの仲間のものでして』
GM/司祭オフラム:『仲間・・・するとお前達は住所不定探職労働者(素直に言うと冒険者のことである)だな。傭兵なのか?』
ラーグ:『必要とあらば傭兵もやるぞ』
GM/司祭オフラム:『腕は確かなのか?』
アルゼル:『ま、相手によるがな』
GM:『なるほどな。しばらくここで待っていろ。腕の立つ者をちょうど探している方がおられるのだ』と待たされる。
GM/フィーナ:『いやー面倒な事に巻き込んじゃってごめんね』
ドク: 『この奇麗なお姉ちゃん誰?』
アルゼル: そういえば聞いていない。『何物ですか?』
GM/フィーナ:『何物ってのはひどい・・・私の名はフィーナ、西のセイフェルスター生まれのオーランシィだよ』
フィーナ:『・・・まあいろいろあってね。ちょいとトロウルから逃げるためにここまで来たんだよ』
アルゼル:『トロウルねぇ、会ったことは無いな』
GM:西方のセイフェルスターの辺りのダーク・トロウルとムチャクチャやってきたようだ。
ドク:『俺達はオークというのを見たぞ』
フィーナ:『おーくう?なにそれ』
ドク:『オークというのは異界の生物らしくて訳のわか らん奴だ』
こんな感じで互いに自己紹介を始めている。何が縁で知り合うかは分からないが、これは完全にGMの作為である。しかし喧嘩で死者が出なくてよかった(笑)。
フィーナは当時RPGマガジン関連のリプレイ掲載された際の登場人物をそのまま採用。プレイヤーたちもそのリプレイを読んでいたので「裏が無い信用できるNPC」と思われることを想定、すんなりと受け入れられた。
NPCとして用意されたキャラクターながらも、参加プレイヤーが勝手にフィーナとしての発言を行う場面が非常に多く、実質的には参加プレイヤーたちの共有PCという存在になりました
本編3 白髭の司祭
GM:さて待つこと一時間だぞ。
フィーナ:『一体いつまで待たせるんだー!』
アルゼル:フマクトの戦士らしく黙って座っている。
ラーグ:俺は寝る。
ドク:では『こんな事はもうしてはいかん!』とクドクド説教してやろう。
GM:さらにしばらく待つとやっと髭面のおじさんがや って来る。年齢は五十を過ぎた感じの結構な年寄りだ。 髪には白いものが混じっており、髭に関しては白い方か 多くなっている。
アルゼル: 立ち上がって儀礼にのっとった挨拶をする。
GM/サラス高司祭:『よいよい、私は礼儀はあまり重視せんからな』 そしてヅカッと椅子に座って『酒を少し持って来い』と 下働きの平信徒に命じる。
ドク:『私の仲間がとんだそそうをしまして』
GM/サラス高司祭:『お前・・・それで本当にブルの信徒か?』
ドク:『よくそれらしくないと言われます』
GM/サラス高司祭:『お主らは風に組する者であろう。腕の立つ冒険者という触れ込みだと聞いておる。で、お前達これら二週間程暇はあるか、ひと働きせぬか?』と聞いて来る。
アルゼル:『修行中の身だ。どんなことでもやるぞ』 もう親父探しから目先の目的はルナーに変わった。
GM:サラスと名乗った司祭は、ホワイトウォールにおける実力者のようだ。現大司祭バナードが最有力者であるがかなりの高齢に達している。それに続く実力者がサラス司祭とタワー司祭だ。サラス司祭は“知恵と気前”を体現しており、寛大で知的な人物で、嵐の声に人気がある。対するタワー司祭は“正義と勇敢” を体現しており、不考実行と正義の押売が専売特許という人で、風の王の支持者を多く持つようだ。タワー司祭の方は自ら出て行き力で解決し、サ ラス司祭は金で解するというのは有名な話だ。
さて話に戻ろう。サラス司祭はアルゼルの答えを聞いて二 ヤリと笑う。
『ふむ、そうかそうか、酒を飲め』とすす めてくる。
アルゼル:俺は飲まんぞ。
ドク:礼儀として少し飲もう。
ラーグ:ガバガバ飲もう。
フィーナ:ゴクゴク飲もう
GM/サラス高司祭:『この白亜の壁より北のボルドホームへ街道が伸びているのは知ってのとおりだ。その街道を利用する交易商人や伝令士が、最近行方不明になっておる』
アルゼル:『その話はさっきも聞いたな』
GM/サラス高司祭:『どうやら付近を根城にする山賊の仕業とわしは 見ておる。ただ何かとまわりのルナーの動きが少し気になる状況だ。正規の兵を派遣する訳にもいかん、なんせ下手に兵を動かし、ルナーに出合えば小さな騒ぎが大きくなってしまう。今我々に必要なことはそういう小さな争いで兵を失うことではなく、新たなる英雄を待ち、そして偉人なる指導者を持つことだ。まぁ、その指導者には私がなるんだがな、フッフッフッ。おっと、という訳でこのホワイトウォールの者を余り動かしたくない。そこで 流れ者のお前達に頼みたいのだ』
消えた商人たちが最後に立ち寄ったのはブラウンヒルと呼ばれる対の辺りだという。ここから二日ほどの場所だ。
『人質となっているかどうかは分からないが、もし解放できれば一人毎にいくらかのボーナスを、山賊を捕まえること自体でもボーナスを出そう』
ドク:『山賊は死んでいてもいいんですね』
GM/サラス高司祭:『うむ。報酬は一週間で一人150ソブリン、原因除去ができたならば500ソブリンのボーナスを各自に出そう。あと他にも行方不明の商人を見つけられたら300ソブリンは出すとイサリーズの寺院の者が言っておった』
ドク:『その人の名前と人用さらいは分かりますか?』
GM: (きっぱりと) 知らん
ドク:後でイサリーズの寺院に行って聞くか。
GM/サラス高司祭:『それから伝令士のハーンという男を見つけたならば1500ソブリンのボーナスを出そう。彼の伝言書だけでも1000ソヴリン払おう』と言ってくる。
アルゼル:『では俺は引き受けよう』
GM:他に人はどうするのかな?
ドク:『アルゼルへの借金を返すためにも頑張らせてもらおう』
フィーナ:コイントスで決めちゃおう。(表裏を見て) 『受ける』
ラーグ:『じゃ、俺も』
アルゼル:まず宿屋に戻って、旅の用意をしてと。誰かイサリーズ寺院の方へ行ってくれ。
ドク:では私が行こう。
GM:辺りは夕方を過ぎてとっぷりと赤い月で照らされている。
アルゼル:『今日はゆっくりと休んで明日の朝早く出発しよう』
ドク:『先に帰っていてくれ。イサリーズの所へ行って来る』
GM:夕方すぎたから営業時間は終わったみたい、もう閉まっているぞ。
ドク:なんだ、明日の朝にしよう。
GM:では次の日の朝。
フィーナ:食糧確保のため下に降りる。おっと、その前 に荷物をまとめておく。
アルゼル:ではこっちも準備しておこう。
ドク:イサリーズの所に行ってくる。
GM:それじゃ他の皆は朝飯を食ってるんだね。
ドク:うっ、俺も腹が減ったから飯を食いに帰る(笑)
アルゼル:『あれ、随分早いな(笑)』
フィーナ:『いきおい良く出てった割には早いわね(笑)』
ドク:『まだ開いて無かったんだよ(笑)』適当に飯食った ら今度こそ行こう。
アルゼル:お前の荷物も用意しておこう。
GM:イサリーズの寺院に行ってみるとそこは交易ギルドの元締めであり、情報センターの役目もしており、さらには市場の防犯センターの役目もしている所だ。石造りの屋 奥の部には看板が出ていて、今の説明が書いてある
ドク:長い看板だな。
GM:でも一般人はそんなの読めないから脇に書かれているイサリーズのルーンで理解するんだろう。
ドク:『すいませーん』ダンダンダンダンとノック。
GM:『何用でしょうか? このような朝早くに・・・』と住み込みの司祭が出て来る。 『まあ中に入りなさい』と柔和な顔の可祭は君を寺院に招き入れる。ちなみにイサリーズの寺院にはちゃんと 魔法的な結界が張られていて、この結界には商業的な危害をもたらす者を感知できるんだ。君が入って結界が反応しないのを見て 『じゃあ座りなさい』と椅子をすすめる。
ドク:『話に聞くと最近商人や伝令士の方が失跡なされてるそうですね』
GM:では〈雄弁〉ロール。プラス20%をあげよう。
ドク:クリティカル!
GM/イサリーズの司祭:『あなたどこでその話を聞きました?』とかなり神妙な顔つきで聞いてくるよ。
ドク:『オーランス寺院のサラス殿です』
GM/イサリーズの司祭:『おお、そうですか。サラスさんがようやく乗り出してくれたのですね。実は・・・』と司祭は君に伝令士がいなくなったこれまでの経過を説明してくれる。伝令士が山賊なんかに捕まるというのは、あまり考えられないという。イサリーズ信徒には《道路の守り》という神性魔術があるので、街道で待ち受ける敵を事前に知ることができるんだ。そういう理由で伝令士や商人がこうもいなくなるのは余程の強敵が存在するとしか思えない、といっている。
ドク:『その人達がいなくなった場所は一緒なのですか?』
GM/イサリーズの司祭:『《神託》で調べた限り、ブラウンヒルと呼ばれ る小さな村の辺りから消息が追えなくなってます。さすがに詳しい場所までは分かりませんが・・・』と言っている。あと 商人以外の旅人が数名行方不明になっているようだ。 『・・・最近はルナーもなりを潜めていて、それがかえって 不気味ですよ』
ドク:『ルナーか、腕がなるぜ、フフフフ。そういえば 伝令士のハーンさんという人も・・・』
GM/イサリーズの司祭:『ええ・・・いろいろな手紙を持ってきてくれるのですが…』
ドク:『そうですか。いろいろ教えてくれてありがとうございました。こちらも最善を尽くします。失礼しまし た』と言って出て行こう。
GM/イサリーズの司祭:後で『なかなか礼儀正しいストーム・ブル信徒でしたね』という声が聞こえる。
アルゼル:ドクが戻ってくる頃には用意も終っているだろう。そういえばフィーナさんは馬に乗ってるの?
フィーナ:(キャラクターシートを見ながら) 乗馬技能はちょっと心得てるけど、乗用馬は持ってませーん。ちなみに、鎧は薄手の革服とベサント革鎧を重ね着しているよ。ブロードソードを二本持ち歩いてる。あとはダガーをブーツに隠し持ってたり、ターゲットシールドも持っている。それからアーチェリー弓と背負い袋とハチェットと 水筒、コインに火口箱、かな。
アルゼル:忘れ物は無いかな?
ラーグ:少し荷物を馬に載せてくれ、今馬持ってるのアルゼルだけやから。
アルゼル:分かった。
GM:じゃあ出発するのは昼ぐらいになっちゃうけど。
アルゼル:そんなものだろ。じゃあパカパカ行こう。
GM/衛兵:君達が出て行こうとすると例の門番が『もう旅立つのか、まあ気を付けて行けよ。最近のルナーはナリを潜めているが、あの赤き月の連中はどこに出るかわからんしな』と声をかけてくる。『・・・神の加護が汝らと共 にあらんことを・・・』と剣で十字を切り祝福してくれる。
アルゼル:ではブラウンヒルに向けて出発しよう。
本編4 焦茶の丘村
一行は火の季の暑い日差しの中、北へ北へと歩みを進 める。昼頃からの出発のため適当な宿は見つからず小川のほとりでの野宿となる。
赤い月の光に照らされながら 焚火を囲み、フィーナやラーグはこれまでの冒険談を語り始める。オーランスの戦士達は男女を問わす、このような自慢話が好きなようだ。
(フィーナ:私の長剣は銅製よ! ラーグ:俺のには《鋭刃5》が呪付された剣だぞ!)
その日の晩は何事も無く、二日目の行軍が始まる。かなりの余裕を持って小さな農村に到着し、ブラウンヒル まであと少しの距離となる。運よくボールドホームからの商隊と出会い、彼らと焚火を囲むことになる。
GM/商隊の顔役: 『ホワイトウォールの方は、景気はどうだい?』、焚火を囲みながら食事と酒が君達にも十分に振舞われる。
アルゼル:その辺は適当に正直に話しておく。それあとで、『来る途中に何か変なものを見なかったかい? 最近この辺で人さらいやらがあるんだが?』と聞いてみよう。
GM/商隊の顔役:『おかしいな、そんな話はボールドホームじゃ聞かなか ったがな。途中の村でもそんな事は言ってなかったし』
ドク:『ホワイトウォールからボールドホームへ向かう 人と会わなかったかい?』
GM/商隊の顔役:『会わなかったな。最近じゃ白亜の壁から墜ちた都へ向かう奴は少なくなってるしな』
アルゼル:ではその人達に気を付けるよう言っておく。
GM/商隊の顔役:『そうだ、怪しい奴と言えば、途中で変な奴らを見たかもな』
アルゼル:『どんな奴だ?』
GM/商隊の顔役:『特徴的な二人組だったから記憶に残ってるんだが・・・。対照的な大男と小男の二人組でな。大男の方は大きな剣を背負っていて、小男は戦斧をかついでいて、二人とも盾をもってなかったなあ。怪しいと言え ばそいつらくらいかな』
ドク:『そいつらが何をしてたか分かるか?』
GM/商隊の顔役:『途中すれ違っただけだからなあ、そこまではわ からんよ』
このようにして農村での一夜は互いに情報交換で過ぎ て行く。翌日、一行は陽が東から真上に移るあいだ歩き 続け、ようやくブラウンヒル付近に到着する。
GM:さて君達が丘地のふもとにたどり着くと、耕地と森林に囲まれたブラウンヒル村を確認できるようになる。 この地図を見てくれ、(珍しく細かい村の地図を取り出す)。村の規模は 人口百人程度と思ってくれ。村の回りには高さ120cm ぐらいの木製の柵が立てられていて、そのなかに木造建築物が幾つか並んでいる。ちなみに石造建造物らしきものも三、四件ぐらいある。
アルゼル:それは神殿か?
GM:神殿は東の方の渦巻状の道のある小高い丘の上にオーランスの社がある。
アルゼル:こういうときには宿屋に行って荷物をおいた後、村長もしくは長老の所に行くのがパターン!
GM:君達は村の入口から入って行く。耕作地で畑仕事している男衆や、洗濯をしている女衆の姿が見えてくる。火の季の暑い日差しの中、皆汗かいて働いている村人達のようだ。山賊騒ぎが全然関係なさそうに思えて来る。 ちなみに宿屋らしきものは見当たらない。
ドク:『農作業が懐かしいな。俺もこんなのどかな生活 がしたかった』
アルゼル:じゃあその辺の少年を捕まえて聞く。『この村で・・・番偉いのは誰かな?』
GM/その辺の少年:『村長さんだよ』
アルゼル:『どこにいるかな?』
GM/その辺の少年:『そこの柵の家だよ』
アルゼル:じゃあ村長さんとこ行こう。
アルゼル:成功。
ドク、ラーグ、フィーナ:失敗。
GM:アルゼルには分かるけれど、家の数から考えると 畑に出ている人数が少ない感じがする。また、空き家が少し目立つ。あくまでも、典型的な村落と比べて、という意味でね。
さて村長の家は大きいからすぐわかる。庭にはニワトリがいて、その横で少年が馬を洗っている。洗濯物を干している娘さんが君達に気が付き『なんでしょうか?』と素敵な笑顔で迎えてくれ る。年の頃は十六、七ぐらいだね。
アルゼル:『村長さんにお取り次ぎ願いたいのですが』
GM/リド:『あっ、お爺様のことですね。しばらくお待ち下 さい』と言い、母屋に呼びに向かう。その時の彼女の横 顔が一瞬沈んだような気がする。
GM:君達が待っていると馬 洗いの少年が仕事を終えてきて『おじちゃん達何してる の?』と聞いて来る。
ドク:(確かにおじちゃんだな) 『御仕事御苦労様』
ラーグ:『お兄ちゃん』
GM:『おじちゃん』
ラーグ:グリグリ 『お兄ちゃん』
ドク: 『やめんか、ラーグ!』
GM: ラーグにこめかみグリグリされてる少年が『痛い よ、痛いよ!』と暴れてると村長さんがやってくる。それを見られたくないならく早業〉をやってもらおうか。
ラーグ:失敗。
GM:『お、お客さん何やってるんですか!?』
ラーグ:『いやー、かわいがってるだけです』(ドク&フィーナ: うそつけー!)
GM:現れた村長さんは六十を越えた爺さんで、村人達 よりは上等な衣服をまとっている。『旅の方、どちらか ら参られたかな?』と聞いてくる。
アルゼル:『一応ホワイトウォールの方から』
GM/村長: 『そうですか。 これから旅立つのであれば食糧を お分けいたしますし、休まれるのであれば一泊の宿をお貸ししましょう』
アルゼル:『実はそういう訳ではなくてね』
GM/村長:『と、申されると?』
アルゼル:依頼のことを話す。
GM:サラス司祭から聞いたことをすべて話すんだね?すると村長さんは『そうですか・・・・・・私達は旅人を迎えてはお送り致してましたがそのような事があったとは…』
アルゼル:『そういう訳でこの村の周辺を調査したいの ですがね』
GM/村長:『そうですか。分かりました。では今晩はわしの 家に泊まってください。明日からは今晩のうちに空き家 を整理させますので』
ラーグ:『何か手伝いましょう。暇だから』
アルゼル:『その前に社に行って来たらどうだ?』
GM:『今は司祭様はいませんが』
一同:はっ?
GM: この村の司祭は名をルーンホーンさんといって、 ボールドホームに出かけているそうだ。
ドク:ブルの社はあるかな?
GM:さすがにこんな小さな村には無いね。 『まあ今日の所はゆっくりしてください。おいリド、こ の方達を客間に案内しなさい』と老人が言うと、 『はい、お爺様。どうぞこちらの方へ』と先ほどのお嬢 さんが案内してくれる。ラーグ、〈人間知識〉ロール。
ラーグ:失敗。
GM:リドさんは君達をはなれの二部屋に案内し、小さ い部屋にラーグ、大きな部屋にアルゼルとドクを割り当 ててくれる。フィーナはリドさんの両親が留守なのでその部屋が割り当てられてる。
フィーナ:ベッドヘダイビングー!
ドク:修学旅行のノリだな、この姉ちゃんは。
アルゼル:では外に出よう。
GM:では村の基本的な説明をしておこう。地図を見てくれ。
この大きな家が村長さんの屋敷 (A)、この二重線で描かれてるのが石造の家で、これが枯れ井戸(B)で隣がちゃんとした井戸だ。
門は 三つあるが、普段は南門 (C) しか開いてない。それ以外の方からは旅人が来ないからだそうだ。他には普通の農民達の荷物小屋とかがあり、丘の上にはオーランスの社(D)がある。君達が明日から使う小屋は (E)だ。
そして地図には載って無いけど東の方に小川が流れている。小川に沿って行くと森の奥に地方神の社もあるそうだし、昔使ってた水車小屋もあるぞうだ。
アルゼル:『小川の先の地方神の社に行ってみようか。そこに何かあるかも知れない。』
GM/リゼ:『昔の司祭様が危険だからと封鎖したと聞いてますわ』
GM:ではその日の午後の行動予定を聞かしてもらおうか。
アルゼル:最近全力疾走させて無かったからな、馬で行ける範囲でひたすら走りまくるか。
GM:どの方向に行くんだ?
アルゼル:南。
ドク:となりの森に行ってみよう。
ラーグ:俺は丘の社に行ってみる。
フィーナ:家に残って夕食の準備を手伝う。
GM:アルゼルは後回し、まずドクからだ。森は結構よく見渡せ、まあ特に何も無いようだよ。
ドク:では晩のおかずでも狩りに行こう。
GM:ではラーグ、社へ歩いて行くと扉にはかんぬきがしてあり、留守にしてあるのが分かる。
ラーグ:そこは荒れてる?
GM:〈視力〉ロール。失敗?ならばよく分からない。 最近は旅に出てるようだから使われた形跡はない。
ラーグ:やはりこんな所に忍び込む訳にもいかんし。周りをグルッと回って見てみる。
GM: 普通の嵐の神の社だ。
はい次はアルゼル。君が馬をパカラッパカラッと南へ一時間も走らせていると夕暮れになる。辺りを見渡せば赤き月が天頂に見え、これと いった痕跡や物音もない。一応〈追跡〉ロールしてや。 失敗?ならば何もない。
アルゼル:じゃあ戻ろうか。
GM:(ニヤニヤ笑いながら) 〈暗殺者感知〉ロール!
アルゼル:うっ、失敗。
GM:君はヒュッと風音を聞く。POWの2倍ロール。 成功すれば運良くそちら側に盾があったことにしよう。
アルゼル:成功。
GM:盾にカーンと一本の矢が突き刺さる。
アルゼル:馬を方向転換させて飛んで来た方向をにらみ つける。
GM:〈視力〉ロール。暗いから-20%のペナルティ をあげよう。
アルゼル:そんなの失敗にきまってる!
GM:では何も見えない。
アルゼル:じゃ盾に刺さった矢を抜いて見る。
GM:矢にはオレンジ色の液体が塗られている。何だか 知りたけりゃ〈鑑定〉ロールして。
アルゼル:失敗。
GM:液体が何かは分からない。不気味なだけだ。
アルゼル:じゃ帰ろう。フィーナさん飯できた?
フィーナ:いや、ちょっと・・・
GM:帰ってみると台所が騒がしい。しゃしゃり出たフィーナが料理の素材や調味料と格闘しているが、結局はリドさんが料理を作ってくれる。ドクは兎を捕らえてきたし豪華な食卓になりそうだ。
配膳もリドさんが行ってくれるが、なぜかラーグの分だけ盛りが多い。そして焼いた肉塊を村長が人数分切り分けて くれる。『さあ食べてください。旅の面白い話を聞かせてくださいな』
アルゼル:その場は昔話なんかをして部屋に戻る。皆を呼んで矢を見せよう。『これが何だか分かるか?』
GM:アルゼル以外は〈鑑定〉ロール。
フィーナ:成功。
ラーグ:失敗。
ドク:ファンブル!『これは・・・東の国のインドラという秘薬でこれに 触れれば全て溶け、飲めば一滴で昇天とか聞いたぞ!』 とホラ吹きます (笑)。
GM: フィーナはこれ が何かの毒だということが分かる。まあオレンジ色の液体、おまけに矢に塗って使ってるんだから毒以外の何物でも無いけどね。
アルゼル:ではさっきの事を皆に言っておこう。『敵は 確実にいるらしいぞ』
フィーナ:『一人で動くのは危ないかもしれないね』
アルゼル:敵がいるのは明らかなんだから二人一組で行動するか。
ドク:どのようにして分ける?
アルゼル:適当でいいよ。
ドク:じゃグーパーで決めよう。
GM: (おっ、お前ら!) こうして決定したのはアルゼル&ドクのボケツッコミ コンビと、フィーナ&ラーグのオーランスコンビ。
アルゼル:では片方が外にいるときはもう片方は村にいることにしよう。午前と午後で分けるか。我々が午前で いくよ。とにかく今日は寝よう。村の中だし見張りは必要無いだろう。
GM:では今晩は皆ゆっくり寝てるんだね。
ドク:兎のシチュ の下ごしらえをして寝るで。
GM:じゃあ各自の部屋で睡眠を取るんだな。
さてラー グ君、夜中に君の部屋をコンコンとノックする音が聞こ える。
ラーグ: (きっぱりと) その程度だったら寝てる。
GM:(………………………こ、こいつは!?)
GM:では次の日の朝にな 君達が朝食を取った後、隣の空家に案内される。 『皆さん今日からはここに泊まって下さい。朝食はこちらから届けますけど品食や夕食は材料を届けますのでで きるなら自分達で作って下さい』
さて、全員 〈人間知識〉ロールしろ、全員失敗か?
このタイミングで村娘リドから情報を伝える予定があったのだが、ちょっと想定外のプレイヤー反応のため、軌道修正しようとアドリブ含めて苦戦している様子
3版では〈人間知識〉が「心理学と社会学がいっしょになったようなもの」と規定されていたので、NPCの感情変化を察する判定で多用していた。ちなみにRQGでは〈洞察:人間〉が技能として定義された。
それなら午前中どうするのかな?
アルゼル:俺とドクは南へ行って昨日の所を調べよう。
ラーグ:ここに何かあるはず!北に行く。
フィーナ:しょうがないわね、同行してあげるわ。
彼は地図を見たときから北に一本だけ描いてある木に行きたがっていたのだ。
GMが面倒臭くなって描くのを挫折しただけなのに・・・
GM:ではラーグ達からいくぞ。(きっぱりと)そこには何もない。おっと、そこに来るまで間のことだ10% の修正加えて〈グローランサ知識〉を振れ。
ラーグ:成功。
フィーナ:失敗。
GM:ラーグ、ここに来るまでの村人の様子を見ていて 変なことに気が付く。普通の農民と比べると何かが欠けているような気がする。
ラーグ:神への祈りか?
GM:(おっ、鋭い!) 確かに思い出してみると朝も飯の時も祈りを捧げている様子は無かったし、農民独特の 信心深い感じが全然しない。よく考えてみると回りの人達の態度がよそよそしく感じられる。さてどうする? 。
ラーグ:とにかくこの木を調べる
GM:・・・(やっぱりボケてる)・・・ 当然ながらここには何もない。
ラーグとフィーナは5 時間以上そこを捜索し続け、結局は諦めて小屋に戻って 行った。さて時間は少し遡り、アルゼルとドクの方に場面は切り替わる。
アルゼル:さて到着したぞ。昨日矢が飛んできた辺りに 行こう。
GM:なら川辺におりることになる。辺りを見てみると 昨日君を狙った奴らがいたと思われる所の葦が踏み分け られている。
ドク:いま狙った奴らと言ったが複数いるのか?
GM:いやーハハハハ(チッ、ミスったぜ)
アルゼル:では去った痕跡でも探そう。
GM:〈追跡〉ロール。一日立ったからマイナス10% だ。(二人とも失敗)さすがに時間が立つと分からない ね。
アルゼル:じゃ、ついでだ、地方神の社に行ってみよう。
GM:はいよ、社に行くんだね。さすがに昼を過ぎるから昼食は抜きになるぞ。さて森を少々進めば社は見えて来るのだが、POWの2倍で幸運ロールしてくれ。
アルゼル:成功。
GM:社につくとアルゼルは木に遮られた向こうの広場が墓場になっていることに気が付く。墓地の墓石はかなり多いぞ。
アルゼル:馬をその辺りにつないで墓地に行ってみる。 変に新しいのはまさかないよな。
GM:真新しいのがゴロゴロある(笑)
ドク:社には何かが封じられていると言ってたな。できるなら<混沌感知〉で混沌の気配を探ろう。コロコロー と・・・クリティカル!
GM:しないよ。
ドク:悲しい、たまに出るとこれだ(笑)
GM:社は確かに四本の柱で囲まれて封印されている。 外見は日本の神社が小さくなって、背面の岩壁に半分めり込んでいる。
ドク:何も入れないと言ってたな。石を投げてみよう。
GM:柱と柱の間に入った瞬間バシッと弾ける。小石は 砕け散る。
ドク:お一怖い、ぶっそうだな。
《隔離》呪文による結界ですね
アルゼル:じゃあ墓石を見てみよう。〈サーター語読み 書き〉で判定だな。ありゃ失敗。
ドク: おいらも見よう。16%しかないけど・・・成功!
GM:十二、三人の墓は五週間程前に一斉に作られてい る。ドクはその中に“ルーンホーン”と、この村の司祭の名を見ることもできる。
ドク:おいおい、本当に今回の敵は山賊なのかよ?とりあえずアルゼルに教える。ここの人はボールドホームに 行ったんじゃ無かったのか? 他は農民のようだが。
アルゼル:『ならばあのオーランスの社に行ってみるぞ。 ドク、後ろに乗れ』
GM:アルゼルの馬に二人で乗り、村へと駆け戻るわけ だな。時間は昼をとっくに過ぎるぞ。ラーグとフィーナ は退屈でもしばし待ってなさい(笑)。
ドク:今回の事件は混沌の仕業かもしれない。オーランスの社のまわりでも〈混沌感知〉だ。ほいっと・・・またクリティカル!
GM:感じない(笑)、無意味な判定だから経験チェックもつかんからな
ドク:トホホ・・・(涙)
アルゼル:じゃあ裏口からでも入るか。
GM: 裏口は無いよ。入るとしたら入口のかんぬきを外すか、煙突から入るかだね。ちなみに屋根までは3メートルちょいあるぞ。
アルゼル:馬おいでー。ドク、馬の上で足場になってくれない?
ドク: それはいいけどバランス悪くない?
アルゼル:大丈夫だよ。
GM:じゃあ〈登攀〉に30%のボーナスをあげよう。
アルゼル:効果的成功、ロープを持って登るぞ。でなきや煙突なんて降りられん。
GM: ではスルスルと・・・
アルゼル: おっと戻るぞ。『ドク、明りをくれ(笑)』
GM:明りを点けて暖炉から出るとそこは儀式用祭具の物置だ。窓は中から打ち付けてあり開かないようなっている。他には司祭の寝室ぐらいしかない。二階は物置に なっているよ。
アルゼル:まずは寝室に向かおう。
GM: 扉を開けて寝室を見渡すと、ベットの辺りが乱雑 になっていて、いかにも跳び起きたような感じだよ。
アルゼル:では机の上を見てみよう。
GM:その上には聖印が置いてある。聖印を置いていの とは大変なことがあったというのが容易に想像できる。
アルゼル:後で墓にそなえてやろう。机の中もあさる。まるで盗賊だな。〈捜索〉ロールは成功。
GM:すると大事に包装されてある銀製の腕輪が見つか る。男物で結構ピッタリしてる。
アルゼル:〈鑑定〉してみよう。失敗だ。
GM:風のルーンが彫られている以外は分からない。
アルゼル:一応貰っておく。他に何か目を引く物ある?
GM:寝室には特にない。
アルゼル:じゃあ二階の物置を調べよう。使える物はあるかな?
GM:〈捜索〉ロール。ん、成功か。でもたいした物は見つからない。ただ、武器や鎧が全く無いのに気が付く。
アルゼル:では一階にに戻るぞ。オーランス像に祈ってから祭壇などを調べる。
GM:像に祈るんだね? POWの1倍ロール 、失敗かい? ならば何も起こらない。
アルゼル: もう煙突から出よう。ズルズル。そしたらドクに中のことを話そう。
ドク: 『やっぱり何かあるな』
アルゼル:『じゃ、そろそろ村に戻ろう』
GM: とてもじゃないが君のすす汚れは完璧に煙突に入った汚れだと分かるよ。
アルゼル:そうか、さっきの小川に行くか。
ドク:じゃあその間は川で魚でも採るか。
本編6 黒鉄の斧、白刃の剣
GM:ではラーグとフィーナに戻ろう。
ラーグ: あいつら来ねーな。村長さんのところに行って、先に探索に行くから帰ったら待ってるようと言づけをお願いする。
GM:村長さんはそうするよう約束する。 母屋を出て、 しばらくすると君の肩を叩く人がいる。振り返るとリドさんだ。『あ、あのー』
ラーグ:『はい?』
GM/リド:『い、いぇー。ご飯美味しかったですか?』
ラーグ:『えー、美味しかったですよ。悪いねー』
GM/リド:『じゃあお気を付けて・・・・・・』
ラーグ: 『ありがとう』では行こう。
GM:(こいつは気が付いてるのか?) それではどこ行くの。
ラーグ:ここに何かがある! (例の木を指さす)
GM:・・はいよ、君の午後は終った。では小川に向かった二人だ。辺りは暗闇に包まれはじめ、月光が射している。〈聞き耳〉ロールをして。
アルゼル:成功。
ドク:失敗。
GM:川辺で体を拭いているとアルゼルは川下で何かが 騒ぐ音が聞こえる。ガキーン、ザクッ、ゴギャッとかいう音だな。
アルゼル:すぐに馬に乗って、ドクに『後から来い!』 と言って時代劇のように川を走るぞ。
ドク:馬に追いつける訳ねー。
GM:アルゼルは3ラウンド後、ドクは10ラウンド後 にその場に着く。
先にアルゼルは 現場を見ることができる。赤い月の光に照らされて血塗れの鋼のバトルアクスを構えた小男が荒くなった息を整えている。その足元には首の無い男や真二つになった女の死体が転がっている。
その向こうには小男とは比べものにならない巨漢が立っている。
アルゼル:剣を抜いて叫ぶ。『貴様らそこで何をしている!』
GM:という訳で残りのプレイヤーは部屋の外に出まし ょう(笑)。
残りのプレイヤー達はまだ寒さの残る廊下に追い出される。
RPGをしているとこのようにプレイヤー達を分断することもしばしば・・・
特定のキャラクターだけが知りえた情報を、その担当プレイヤーだけに渡す、というマスタリングをこの頃は多用していました
現在はゲームマスターから提示する情報は、原則として全プレイヤーに開示するスタイルに変化しました。
・手間がかかって面倒なだけでプレイのテンポが悪くなる
・協力しあうパーティプレイのファンタジー系だと疑心暗鬼はデメリットしかない
・メタ発現はある程度許容する寛容な精神の方がプレイ時間短縮になる
などが理由ですね
アルゼル:このパターンはもしや戦闘じゃ・・・・・・
GM:当然だよ(笑)。アルゼルの目の前には二人の男 が立っている。一人は身長160cm程度の小男で、全身 ベサント革とクイルブイリを重ね着し、鋼のバト ルアクスを両手構え、その表情は狂気を帯びた笑みを浮かべている。
その隣の無表情な巨漢は全身にリングメイルを、頭部、胸部、脚部にクイルブイリの鎧を着けて いて、グレートソードを構えている。巨漢の方は、何やら首元に赤い金属の首輪をつけている。
アルゼル、君はその巨漢を見たことがある。その巨漢は間違いなく戦で行方知れずになっ ていたはずの君の親父さん、ローランドだ!
前のセッションからしばしばアルゼルのプレイヤーが冒険の目的について発現していたので、ちゃんと設定を拾うことにしました
アルゼル:ふえっ?構えた剣を震わせる。 『親父、何をしてるんだ!?』
GM:『見たのか・・・ならばお前も殺す!』
アルゼル:馬から降りて様子を見るぞ。 『一体何をしてる?』
GM:小男の方が巨漢に命令し、巨漢の方が静かに命令を承諾する。
GM/ソドム:『どうやらホワイトウォールから来た奴らだな、面倒なことになる前に潰しちまおう』
GM/ローランド:『分かった』
GM:という訳で小男ソドムはバトルアクスを、親父ローラ ンドはグレートソードを構えて襲って来る。確かアルゼ ルの記憶では君の父は君より強かったはずだ。
アルゼル:まずは《破裂》を小男に飛ばす。
GM:では6SRで小男が君の目の前に到着、ローランドは自身に《かすみ》を唱える。
第一ラウンド。アルゼルの《破裂》は発動に失敗。ソド ムが眼前に迫り戦斧を振るう。アルゼルは盾でそれを受 け流す。ローランドの《かすみ3》も発動失敗。
アルゼル:《鋭刃》を唱えてから受けに徹する。
GM:ソドムは攻撃、ローランドは再度《かすみ》だ。
第二ラウンド。《鋭刃》が発動し、アルゼルの剣が微光を発する。ソドムの打撃を盾で受け流すが、盾が僅かに破損する。ローランドの《かすみ》も発動し、その全身が陽炎のようにぼやける。
アルゼル:親父、俺にも《かすみ》教えろー! ソドムを 切る。
GM:ローランドは接近し、ソドムは攻撃。
第三ラウンド。アルゼルの突きをソドムは戦斧で弾くさすがの鋼鉄製、傷ひとつ付かない。ソドムの 一撃がまたもアルゼルの盾を破損させ、ローランドが接敵しアルゼ ルは圧倒的不利!
GM:さあドアを開けろ。(廊下にいたプレイヤー再度 入室)さあドク、お前が走って来ると剣を撃ち交わしている男達が見える。
ドク:バトルアクスか、それをターゲットにしたいな。
アルゼル:100%を越えた先の剣技を見せてやる。二回攻撃に分割して二人を攻撃する
GM:ソドムとローランドは一回ずつ攻撃。
ドク:走るとどの位かかる?
GM:えーと、8SRだな。
ドク:ふーん、そんなにかかるのか。じゃ苦戦してるアルゼルに《防護2》だ。
ドクのプレイヤーは8ストライクランクと8ラウンドを取り違えてしまった様子。
第四ラウンド。風の早さでローランドの大剣がうなる。 アルゼルは真正面からその一撃を受け耐えるが盾にさらに亀裂 が走る。その一瞬をついてソドムの戦斧がアルゼルの左 腕にぶち当たる。盾がふっとび、鈍い音を立てて骨が折れる!遅れながらドクの《防護》が発動し、アルゼル は見えない鎧に守られる。
アルゼル:ソドムを攻撃する。盾が逝かれたので、グレートソードをブロードソードで受ける。
GM:ソドムはドクに《破裂》を飛ばし、ローランドは アルゼルにとどめの攻撃をする。
ドク:一応自分にも《防護2》をかけよう。
第五ラウンド。まず《防護2》が発動。次いでソドム の《破裂》が発動するが、ドクの抵抗力が上回りダメー ジを受けずに済む。アルゼルは巧みに剣を操りローラン ドからの一撃を防ぐ。
ルーンクエスト3版では、攻撃に用いた武器での受け流しは両手大型武器の特権でした。
つまり、アルゼルが片手用武器のブロードソードで攻撃と受けを同時に行なっているのはルールミスです。RQGではその制約が無くなったので、時代を先取りしすぎた行動でした
アルゼル:グレートソードを受け流し、ソドムを攻撃。
GM:二人共前回と同じ。
ドク: ソドムに《破裂》。
第六ラウンド。ドクの《破裂》は抵抗され無効。ローランドは珍しく攻撃を外す。そしてソドムの《破裂》がまたも抵抗される。絶体絶命のアルゼルが起死回生のクリ ティカルを放つ。鋭い突きがソドムの頭部に撃ち込まれるが、きわどく斧で突きを受け、重傷ながらも即死を免れる。
GM: ソドムは頭から派手に血を流しつつ『えーい、ここは引くぞ!』『しかしとどめが!』 『いいから引くん だ!!』とジリジリ下がって森の中へ走り去って行く。
アルゼル:パターン通り地面に膝をつきうめくぞ。
ドク:『大丈夫か?』 本当にパターンだな(笑)
アルゼル:大丈夫じゃないよ!とにかく《治癒》と〈応急手当〉だ。
ドク:『激しい闘いだったようだな。さすがに馬で行かれると追いつけん。ところで奴ら何物だ?ただの山賊には見えんかったが・・・
アルゼル:『よくは分からん』その辺に落ちている死体を調べて、葬ろう。
ドク:商人か?
GM:男一人、女一人と赤ん坊だ。商人ではなく農民風の服装だ。
アルゼル: 死体をさっきの墓場に埋めよう。そしてルーンホーンさんの墓の上に聖印を置く。
ドク:『随分時間をオーバーしたかな』
アルゼル:『・・・帰るか』
本編7 紫紺の美酒
GM:さてセッションも後編だぞ。 暗い夜道を徒歩と馬で進み、半時ばかりで村に帰り着く。 アルゼルの傷ついた姿を見て村人達は怪訝な顔をする。『どうしたんです、その怪我は?』
アルゼル:『川で転んで狼に襲われました』
ドク:『そのうえ落馬したんです』
GM:... 。一応フィーナやラーグのいる小屋に案内される。朝と比べるとちゃんと内装も奇麗になっており十分 生活できる。やっぱりフィーナは一番良いベッドを…
フィーナ:当然でしょ(笑)
ラーグ:『遅かったな。何かひどい目にあったのか?』
アルゼル:『確かに』
ドク:『ひどい目にあったし、おかしな所を見つけた』
GM: よく見るとアルゼルの盾が壊れまくってる。かなりハードな戦闘があったことが分かる。いま盾のAPいくつ?
アルゼル:9しかない。これじゃ役にたたんな。一応今までの事を話すか。『詳しいことは分からない。突然襲われた。ルーンホーン司祭も死んでるし、この村はあまりいい村ではないようだ』そして最後に親父のことも話す。
フィーナ:『本当にお父さんなの?』
ラーグ:『・・・。司祭のこと、村長に聞いてみるか?』
アルゼル:『やめろ、どうなるか分からん。それよりお 前は気付いたことはないのか?
ラーグ:『特に無いなあ』
アルゼル:お前な・・・よく思い出せ!
ラーグ:?
アルゼル:こりゃ駄目だ。
リドさんの態度に気が付かず、村人がオーランス神を崇めていない、このような重要な情報を忘れたラーグのプレイヤーって一体・・・。
他のプレイヤーはこれらの情報を知っているが、キャラクター達は知らないので、それを踏まえてロールプレイしている様子。 そこらへんがこのゲームの面白い所であり、 もあるのですが。
GM:そんな感じで君達が休んでいるとリドさんがやっ てくる。 『夕食の分を届けに来ました』
一同: どうもありがとうー。
GM:一応《治癒》で傷口塞いだから外傷は見えないん だな?
アルゼル:ないけどボコボコの盾が落ちてるな、ウルウル(涙)
GM/リド:『その盾は?』
アルゼル:『いや狼に襲われて・・・(笑)。ともかく見た通り危ないのがいるのであまり村の外には出ないでください
GM/リド:『はい……… 』
リドさんの顔はどことなく悲しそうだ。〈人間知識〉、別名心理学を全員ロールしろ。
アルゼル:おお、成功。
ドク、ラーグ、フィーナ:失敗。
GM:アルゼルには分かるけど完璧に何かを言おうか言 うまいかと悩んでいるのが分かる。そしてこれまでの行動から彼女がどんな心理状態か分かるだろう。ノックを しても起きないとか・・・
フィーナ:ラーグに聞こえないように『この鈍感が』と 言う。
アルゼル:夕食を食べ終った後に突然ポツリと言う。 『何か言いたいことがあるなら言ってごらん』
GM: 〈雄弁〉ロールだ。成功?すると決心したように 『あの実は・・・』と少し考えてから、 『いえ、なんでもありません。私は家の方で用事を残してますので』と扉に足を向ける。
ドク: 『おっとリドさん、悩みはあまり残さない方がい いですよ』
GM:彼女は小屋から出て行くまえに『これを・・・』と何か入った小瓶を置いていく。
アルゼル:『これは?』
GM:『いえ、それは・・・』と言ってそのまま出ていく。 瓶には透明な液体が少し入っている。
アルゼル:出来もしない〈鑑定〉だ。コロコロッ失敗。
GM:じゃ分からない。だれが保管するのか明確にしよう、鑑定で調べたアルゼルが持ってること にしていいのかい?
アルゼル:ああ。今夜は盾を修理してから寝るか。
GM:そんな訳で夜は過ぎていくと思えた。しかし少し 経つと君達の小屋の扉を叩く音がする。
ドク:枕元のバトルアクスを握る。
アルゼル:ドアに寄っていって〈暗殺者感知〉、ありゃ 失敗。
GM:(あー、このタイミングの失敗は残念だね~)『すいません』と男の声だ。
アルゼル:『どなたですか?』
GM: 『リドの父親ですが』
アルゼル:『お初にお目にかかります』ドアを開けよう ガチャ。
GM:ドアを開けるとそこには一人の男が立っている。 三十後半程の普通の男性で『娘がお世話になっているそ うで』と言っている。
アルゼル:『反対ですよ』
GM:『私は妻と巡礼の旅に出ていて今帰ってきたばかりなのです』
アルゼル:じゃあここに来た理由を告げて『立ち話もなんですから』と中へ入れよう。
GM:『いえ、実はお誘いに来たのです。私達が無事帰って来たことを父が祝いたいというので一緒に飲みまし よう』
アルゼル:『いえ、私は少し用事がありますので』
GM: じゃ君は行かないのかい?
アルゼル:いやちょっとプレイヤーが飯食べてるから進めておいてくれ。俺は外の見回りでもしてよう。頼んだ ぞドク、ラーグ、フィーナ。
GM:すごい理由だな。では残りの三人は行くんだな。 どんな格好で行くんだい?
フィーナ:酒場で暴れた格好。
ドク:普通の衣服に短剣。あと聖印も持っていく。
ラーグ:普通の服着て短剣を隠し持って、帯剣する。
GM:では母屋に行く奴はINTの1倍ロールだ。
全員:失敗。
GM:じゃあ君達は村長の家に招かれる。彼らが出ていった後にアルゼルが外に見回りに出るんだな。しばらく アルゼルはフェイドアウトだ。
さてドクたちが招かれたのは最初に飯を食った部屋だ。リドの母親と思われる人もいて、上座には村長が座って待っている。
『おお、息子夫婦 が無事帰ってきた喜びをあなた方と分かちあおうと思いまして』
ドク:『どうも夜分押しかけてすいません』
GM:『いえいえ、お構いなく。息子が持ってきた酒でも飲みましょう』と極上ワインを出してくれる。
ラーグ&フィーナ: 『おー! やりー!』
ドク:『私は少しでいいですよ』
GM:『まあそう言わずに』とそれぞれの酒杯についで くれる。リドさんは厨房に入ってなかなか出てこない。
『では息子が無事帰ってきたことに乾杯してください』 と村長が酒杯を掲げる。
ドク:じゃあちょっとだけ飲もう。
ラーグ&フィーナ: どんどん飲む。
GM: そんな感じで酒を飲んでいるとリドの父親が『いやー、南の方に巡礼に行って来たのですがなかなかあちらの方は大変ですね』と言っている。
ドク:『南?ということはどこに行っていたのです?』
GM:『ホワイトウォールとかの方へ。エスロリアは平和な感じでいいですねー』と言っているけど、全員で〈グローランサ知識〉ロールしろ、フィーナ以外にはボーナス10%をつけてあげよう。
ラーグ:成功。
ドク、フィーナ:失敗。
GM: ラーグには分かるが彼の言っている話はちくはぐしていたり、実在しない街のことを言ったりしている。エスロリアに数日滞在した君からすると、とてもおかしい矛盾を話している。
ドク:じゃあ改めてここに来た理由を話すか。
ラーグ:交渉はすべてまかせたぞ。
ドク:それは困る、俺はそのこと (リドの父親の嘘話の こと) 知らないんだぞ。まったく・・・。『ところであたな方は道中で怪しい輩を見ませんでした か?』
GM:『いえ、そういうのは・・・』と言っているが(突然 メタルフィギュアを配置し始める) さあ皆さん、耐毒抵抗ロールだ。体力と毒素の強さで抵抗ロールしてくれ。
ラーグ:成功。
ドク、フィーナ:失敗。
GM:『いえ、そういうのは・・・』と聞いた時にドクは突然酒杯を落としてしまう。
ドク:『酔ったのかな?』
GM:『会わせたい人がいるのですが・・・』と席を立つ。
ラーグ:『どなたですかな?』
GM:『いえ、私達と同じ志しを持つ人ですよ』と言う と後ろのドアが開いて頭部に包帯を巻いた小男が立って いる。当然ドクは見たことがある。ソドムだ。『久しぶりだな』とにやにや笑いながら近づいて来る、
ラーグ:『誰、知合い?』
ドク:『こいつが例の襲撃者だよ!』
GM: 毒抵抗に成功したラーグは今後の行動にすべてマイナス 10%の修正が加わる。失敗したふたりはマイナス40%の修正が加わる。
ソドムは毒が効かなかったラーグに飛びかかる。リド父親はダガーを構えてドクに襲いかかる。リド母親はフィーナを押さえつけようとする。
では行動宣言だ。
ラーグ: 質問!ソードで受けて攻撃は出来るの?
GM:片手持ちの剣じゃ出来ないから・・・アルゼル、先ほどの戦闘はミス処理だ。
ラーグ: ならば剣で受けて蹴る。
フィーナ:殴り返す!
ドク:ダガーを構えて、アルゼルに聞こえるよう叫ぶ、 『うおー!』 ダガーで受けて殴る。
GM:村長はラーグに向かって《惑い》をかける。
第一ラウンド。まず村長の《惑い》がラーグを襲い、彼は全感覚が混乱して行動不能に陥る。ドクの拳攻撃は修正を受けても十分高く、リド父の右足を打ち砕く。フィーナとリド母は互いに外しあってる。ソドムの戦斧はラ ーグの右足に食い込むが、《惑い》の効果は薄れない。
GM: ソドムは斧のつかでラーグの頭部を殴り気絶させ ようとする。リド母は前回と同じ。
フィーナ:あたしも前回と同じ。
ドク:走って扉から外に出て『アルゼルー!』と叫ぶ。
GM:村長はドクの後ろ姿にまた《惑い》だ。
第二ラウンド。全力疾走でドアを蹴破り外に出るドク。 しかし《惑い》に襲われ叫ぶが倒れる。残されたフィーナも取り押さえられ、ラーグは完全に気絶する。かくして彼らは敵に捕らえられることになる。そのころ暗闇の剣士は・・・
本編8 黒衣の剣士たち
アルゼル:フル装備で表に出る。
GM:すると赤い月に照らされながら、村の外から歩み奇る人影がある。君の父、ローランドだ。
アルゼル:『・・・何をしている』
GM: 『赤き月に従わぬ者を・・・切る!』そう言いながら 背中のグレートソードを抜き払い、構える。
アルゼル:こちらもブロードソードを構える。
GM:ローランドはいつものように無表情な顔で問う。『なぜお前がここに来た?』
アルゼル:『そっくり貴様に返してやろう』
GM:『サーターはもはや破れた夢だ。私達が生き残るには赤き月を受け入れ、その中で立場を確立する他はないのだ・・・』
アルゼル:『やはりルナーの仕業か・・・。貴様がそう思うなら勝手にするがいい。俺は俺の道を歩ませてもらう』
GM:『そうか・・・私は夢を捨てて現実を選んだ。その決断が正しいか否かを、この場で確かめさせてもらうぞ』 間合いを詰めながら大剣の戦士は言う。 『・・・今度は容赦せぬぞ』
運命の女神アラクニー・ソラーラに導かれ、呪われた 親子の対決が始まる。
アルゼルの剣が魔力を得て微光を発する。対するローランドの大剣は魔法の火炎に包まれる。
二人の間合いは徐々に狭まり、互いに剣を構え身体は微動だにしない。
先に仕掛けたのはアルゼルであったが、先に剣を振るったのはローランドであった。
息子の繰り出す突きを大剣で受け流し、勢いを活かして剣をへし折ろうとする。
素早く突きを戻すが微光を放つ剣が僅かに溶ける。そして間を置かず大剣がうなり盾を砕く。
だが息子の剣も火炎の大剣に亀裂を走らせる。互いに一撃が致命打になることを知っており、攻撃を防ぐのに全神経を集中さ せていた。
致命打を狙った撃がアルゼルの頭部に打ち降ろされる。身体を跳ばし大剣をかわした息子がそのまま見事な 突きを放つ、が大剣がそれを弾く。
金属が打ち合う音、 親子の荒くなった吐息、それを包む風の音。
しかし聞こ えぬ言葉が剣によって語られていた。アルゼルの剣が小手のない右手を狙う。それをローランドが大剣で受け流すが亀裂の数が増す。亀裂によって 大剣が折れるか、火炎によって盾が燃え尽きるか、それが勝敗を分ける鍵に思えた。
「うおー!」突然彼方より異なる叫び声が響く。
(ドクも襲われている!?)その思考がアルゼルの動きを鈍らせたのか。
腹をめがけて大剣の突きが飛び、盾を四散させながら肉に食い込む。
燃える炎の熱さよりも、金属の塊が腹に突き刺さる感触 だけが脳に届く。
あとは何も分からなかった。ただ魂が 慰安を求め地界へ旅立つ浮遊感、それを初めて感じることが出来た・・・。
本編9 蒼き首飾り
GM:ゆっくりと目を開けるとそこには心配そうなフィ―ナの顔が見える。今君がいるのはぼんやりとしたたいまつの明りだけで照らされた小さな部屋だ。3メートル×2メートル ぐらいで、出入口となる壁は青銅製の格子がはめられている。ラーグやドクもいる。全員武器や聖印はないがアルゼルだけ鎧をつけたままだ。
アルゼル:腹の傷を見る、どうなってるの?
フィーナ:あたしが《傷の治癒》を使ったから塞がってるはずだよ。
GM:ただし、かなり大きめの傷跡は残っているよ。
ラーグ:俺も右足を怪我してるんだけど。
GM: それは治療されてない。
アルゼル:落ち着いたところで回りを見てみよう。
GM:反対側にも同じような牢があり、ここが地下とい うことも分かる。
ラーグ: 向こうに誰かいる?
GM:誰か男が一人座っている。
アルゼル:『やあ、ハーンさん』
GM:『お前は読心術でも使えるのか!』と驚く。 『なんで俺の名を知ってるんだ?』
アルゼル:訳を話す。 『あんたを助けに来たが同じ立場になっちまったな。
GM:『あんたらイサリーズの人達に雇われたのか?!
ドク:『間接的だけどね。ところでハーンさん、ここは 村ぐるみでルナーの信徒なのか?』
GM:『よくは分からんが最近ルナ 一に改宗したらしい。その時に逆らったオーランスの 司祭達は殺されたと聞いたがな。残った奴らがルナーの 洗礼を受けるために・・・あんたらも俺と一緒に二日後には 悲惨な目に合うんだよ』
プレイヤー達はカレンダーを見る。何やら二日後には 「赤の女神」の聖祝日。その聖祝日で何らかの儀式が執り行われるのは間違いない。当然ハーンと一緒に聖祭で担う役目は・・・生費。
フィーナ:『とにかくここから脱出しようよ』
アルゼル:無理やり抜け穴を探そう。〈捜索〉は成功。
GM: (きっぱり)何もない。
アルゼル:なら鎖帷子から針金取って鍵開ける。
GM: (んなことできるか!?) そのユニークなアイディアに免じて今の〈捜索〉で針金を見つけたことにしよ う。解錠は〈修理〉ロールだ。
アルゼル:成功率は低いけど・・・成功!
GM: (予定外の展開になっちまったぜ) すると音を立てて南京錠は開いた。その地下室には牢屋しか無いよう だ。ハーンさんはどうする?
アルゼル:カチャカチャ・・・すまん、失敗した。 『後で助けるから待っててくれ』じゃ階段のぼるか。
GM: 〈忍び歩き〉と〈聞き耳〉を振ってくれ。
アルゼル:両方とも失敗。なら階段から上をチラッと見てみよう。
GM:君が階段から首を出すと男と目が合う (笑)。その男は革鎧を着ており右手には槍が握られている。『ありゃ?』と互いに一瞬止まるが、相手は状況を理解して槍を突き出して来る。 無茶を承知で素手で槍を受けたけりゃく拳受け〉 、やなら〈回避〉を振ってくれ。
アルゼル:ほーっほっほっ、 〈回避〉が成功。
GM:なら君は巧みに槍を避ける。相手が二撃目を放つ 前にゴンと鈍い音がする。するとズルズルッと男は地面に倒れ込み、後ろには麺棒を握りしめたリドさんが立っている。心配そうな顔付きで『大丈夫ですか?」と尋ねる
アルゼル:『大丈夫です』
GM/リド:『てっきり槍で刺されたかと思いました。皆さんの荷物はそこの小部屋にあります』
フィーナ:みんなの装備を持って来る。
ラーグ:俺の右足の怪我、治してくれ~。
アルゼル:えーいうるさい。《治癒》!ほれ直ったぞ。
ドク: 見張りの腰を探る。鍵はある?
GM:鍵はない。ちなみに馬と食糧以外の荷物は部屋の中にある。リドさんはラーグに向かって語り掛ける。
GM/リド:『早くここから逃げて下さい。森の水車小屋に別の人達 がいますから。ところで、お渡しした解毒剤は使わなかったのですか?』
一同:ハハハハハ。
フィーナ:さつきの小瓶は解毒剤だったの?
GM:そうだよ。おいラーグ、最後にリドさんは君に青い宝石のはめられたペンダントを手渡す。
GM/リド:『このペンダントを持って行って下さい。これを見せれば水車小屋の人達も受け入れてくれるはずです。水車小屋にはブルーネルという人がいます。さあ他の見張りが来ないうちに早く』
ドク:『リドさん、ルナーになど負けずに強く生きなさい、そうすればストーム・ブルの導きがあります。』
フィーナ:(ストーム・ブルの導きって戦士意外にもあるの?)
アルゼル:ではここから外に出て水車小屋に向かう。
GM:君達が出てきたところは地方神の社だった所だ。 今では牢屋として使われているらしい。そこからしばらく歩いていくと水車小屋につく。今 でも使われているようで、粉を曳くために回っている。
アルゼル:ノックしてみる。
GM:シーンとしていて返事はない。
アルゼル:ラーグ、行け。
ラーグ:じゃペンダントをかけて中に入る。
GM:中に入るとやはり普通の水車小屋で木の歯車なんかが動いている。ただし荒された形跡が残っており、最近も捜索が行われた後のようだ。ラーグがしばらく中で待って いると奥から人影が現れる。だいたい30後半の男性で 毛皮の衣服をまとっている。『そのペンダント、どうやら敵ではないようですね。私がブルーネルです』
アルゼル:ともかくこれまでの経過をすべて説明する。
GM:ではそれを聞いて『そうですか。すいません、こ こでは外に声が漏れるかもしれないのでこちらへ』と奥 へ導く。そこには地下への縦穴がある。君達が下に降りるとブルーネルが歯車を回す。すると低い音を立ててその穴は石畳で塞がれる。 下にはブルーネル以外に怪我をした男性が二名、その 脇には泣いている赤子を含めた女子供が6~7人いる。 子供たちはとても疑い深い目で見ている。
ドク:では怪我人に《治癒》を施す。
GM:では魔力を6ポイント消費してくれ。それにより 傷口は塞がるが顔色は相変わらず悪い。君が治療をして いる側でブルーネルが話し始める。 『サラス司祭様がこうして調査を命じてくれたのは嬉しいのですが、少し遅すぎたようです』
アルゼル:さてまずはどうしよう。
GM: 『ここからホワイトウォールに戻ったとしても2日はかかりますし、無事たどり着けるかどうか・・・』
ドク:リドさんのこともあるしな。ルナーに完全に染まってなければ村人全員を殺す訳にもいかんし。染まってたら容赦せんがな。
GM:『容赦するも何も戦力が足りませんよ。司祭様や戦士たちが殺されてしまったのでここにいる男は3人だ けですし、女子供は戦うすべを知らない。とても戦える状態じゃありません。あちらには男衆だけで二十人はい ますし、あの屈強な戦士達が・・・。ああっ、五週間前にあいつらが来たときから・・・。
ドク:『あいつらとは?』 とりあえずガレリアの特徴などを言う。
ガレリアについては前回セッションを参照されたし
アルゼル:一応戦士の名前だけ言っておこう。大きいの はローランド、屈強な五十ぐらいの戦士、もう一人はソ ドム、斧使いだ。
GM:ブルーネルはその三人のことだと言う。その三人が村長を言いくるめ、まずは最初に寝込みを襲う形で司祭を殺し、村人達に赤き月に対して忠誠を誓わせ、その場で従わなかった者たちにも、サーターはもはや破れた夢だと洗脳した。その方法はよくは分からないが、それによって大半の村人はル ナーに宗旨替えをしてしまったという。 『・・・司祭様の弟を含めた者達で反抗を試みたのですが、さすがに向こうの戦士たちが圧倒的に強く・・・』
ドク:『その弟さんはどなたかな?』
GM:『・・・死にました。今反抗して生き残っているのは 我々だけです。』
ラーグ:残った人達の戦闘能力は?
GM:怪我人だらけで食織不足。武器や防具も無い。
ここでしばらく作戦タイムとなる。数日後にせまった 「赤の女神」の聖祝日の儀式で、捕らわれたハーンなど が殺されることは目に見えている。今となっては地方神の社に忍び込むことは不可能となっている。なんとかして儀式を妨害しなければならない。
ブルーネルの話しによれば黒髪の女剣士(ガレリアの こと)は出はらっているらしく、主な驚異は二人の戦士、 そして魔術に執着している村長だという。
冒険者たちは討論により今後の行動方針が決定。儀式中に突っ込むと いう月並みすぎる作戦である。
GM:おそらく儀式は村の中央広場に祭壇を作ってやるだろう。
アルゼル:屋外ならば弓矢が使えるといいが《弓攻撃》の高い奴がいない。おまけに俺の盾は使い物にならん。
GM:盾はブルーネルさんが《修復》で直してくれる。 農民なんて《修復》《発火》《検知》ぐらいしか知らないからね。
アルゼル:《発火》で建物焼くか?
GM:ブルーネルは最悪の場合はそれもしようがないと 肯定する。
さらに考えたあげくできた作戦がまたもや月並みであ る。儀式が始まるまでに村を囲む壁に近づき、隠れて援護用の精霊魔術を使っておく。そして合図でブルーネル の別動隊が《発火》で数件の家屋を燃やす。混乱に乗じてまず村長を遠距離から攻撃、次いで戦士二人をがんばって倒す。 ここまで決めるのに40分も討論を続けたのである。その大半が関係の無い雑談であったが・・・
アルゼル:まず前夜に闇に紛れてオーランスの社に行き儀式が始まるまで待機しておく。
GM:社には君達4人以外にブルーネルと《発火》が使える農夫、合計6人が待機している。 息を潜め満月がるのをじっと待つ。辺りが完全に暗くなり、 ついに赤い光を発する月が天蓋の頂点に達する。 それが合図となり広場に松明の明かりが集まり始める。どうやら儀式が始まるようだ。
ドク:さあいくぞ!
まずは別動隊2人が反対側に回る。一行は《鋭刃》や《筋力》や《かすみ》でバフをかけて準備し、別動隊の合図を待つ。
GM:広場にはやぐらが組まれ、そこに赤の女神と七母神像が置かれている。神像の足元にはそれぞれ一人、囚われた人影が…。祭壇も設置され、その前には村長と、例の二人の戦士たちがいる。それを囲むように 村人達が数十人いる。
村長が聞きなれない祝詞を唱えて儀式を始める頃、村長宅辺りで大きな火の手が次々と上がる。数十人の村人が消火に向かうが、その場に残るものもいる。火を消しに戻らないのは1 D6人だ、さて何人残るかはリーダーが振れ。
ラーグ:リーダーって誰だ?
アルゼル&ドク:あんたでしょ! リーダーは普通オーラ ンスだ!
フィーナ:あたいは女だからパスね(笑)
ラーグ:分かったよ・・・6! (笑)
GM: (おいおい大丈夫か?) じゃいくぞ。
本編10 赤月の宴
帝国の守護神像の足元に、捧げられようと生贄の男女が縛られている。これまで行方不明になっていた旅人たちのようだ。また、ラーグたちを逃がしたことが露見したのか、リドまでもが加えられている。なにか薬でも使われたのか、意識を失ったようにぐったりしている。
立ちはだかる六人の村人たちを切り捨て、矢に射られて次々と倒れる。見れば村人たちの首にはルーンの刻まれた首輪が嵌められている。
そして、冒険者たちはソドムとローランドへと肉薄する。ドク、ラーグ、フィーナの連携の取れた攻撃が斧使いソドムへと集中させ、一気に攻め落とす。
ルーンクエスト3版だと〈受け〉の回数が原則1回だけと非常にシビアなため、一対一では互角の勝負で拮抗する強敵でも、複数人相手にすると防ぎきれずに倒されてしまう、ということが多々ありました。
ドクの攻撃を受け流しさせておき、無防備になったところをラーグの刺突ブロードソードが貫通一撃であっさりと撃破
櫓の上で人質を盾に降伏を迫る村長、その目はすでに狂気に侵されていた。
フィーナの精霊魔法が功を奏し、村長の右脚を《破裂》させる。体勢を崩して櫓から転げ落ちたところを、容赦なくドクの戦斧で仕留められる。
三度目の決闘となるアルゼルとローランド、その勝負を見守る仲間たち。
実際には一騎打ちに乱入しても良いのですが、フマクトの剣士がタイマン挑んでいる状況に水を差しちゃ悪いと思ったのでしょう…
アルゼル:いや、別にドクやラーグ、そっちが片付いたなら手伝ってくれてもいいんだぞ? とにかく、親父の首に付けられた首輪を狙って破壊したい
GM:熟練の戦士に対する部位狙いよりも難しいピンポイント攻撃だからね、1/2ではなく1/4にして狙ってね~
アルゼル:そんなの当たるか!
微光を放つ長剣を握るアルゼル、かすみをまとい大剣を構えるロー ランド、互いに間合いを詰め、 二人だけの対決は静かに続いていた。二人は月光の中で対決し、息遣いだけが規 則正しく、心臓は早織のように鳴り続けた。
大剣がアルゼルの盾を砕く。その攻撃をかわしながら アルゼルの剣が首元を狙う。突きは首自体ではなく、赤い光を放つ首輪に向けられて放たれていた。
アルゼル:無言で戦います。でも心の中では、あんたの言葉は真意なのか? この魔具に支配されているのか?それともこれは忠誠の証なのか?と叫んでます
GM/ローランド:それを察しながら、無言で斬撃を受け止め、アルゼルを倒すため攻撃を続けます
そんな思いを大剣は無情に払い流す。大剣はアルゼルの盾を再び削り、アルゼルの全身に幾つもの裂傷を刻みつけ、アルゼルの体力を奪ってゆく。繰り返される斬撃により、もはや盾は原型を失い…
アルゼル:首輪狙っての攻撃も受け流されてまるで効かない、だめだ、このままではやられる・・・。
GM/ローランド:『どうした、それがお前の限界か!?』
アルゼル:『俺はまだ死なん、だから・・・先に逝け!』、通常攻撃に切り替えます
意を決し、アルゼルは再び長剣を構え直す。熟練した技量を持つ剣士同士の決闘。
その結果はひとつしか無い。 勝者が生き延び、敗者は死す。
互いにとって致命傷を狙い、一撃を振るう機会を伺う。
死角から振るわれる大剣、しかしそれよりも早くアルゼルの突きが飛ぶ。
大剣は突きに弾かれ宙を舞い、鲜血が大地を漏らす
GM/ローランド:『アルゼル、強く・・・なったな・・・私は・・・ルナーに全てを賭けたが・・・やはり・・・私は間違っていた ようだ・・・』
アルゼル:・・・崩れ落ちる親父の躰を受け止め、無言でブロードソードを抜き、看取ろうとします。
GM:では、ローランドは腰に差していた黒鞘の剣を鞘ごと抜き、息子に差し出します。
アルゼル:『これは・・・』
GM/ローランド:『部族の長の証だ・・・部族の未来を・・・お前に・・・託す・・・』
アルゼル:『・・・後は任せてもらおう』
GM/ローランド:『フマクトに・・・二言は無いな・・・・・・サーターも・・・・・・夢では ないようだ』
息子の腕の中で父親の躰が冷たくなっていく。
生命が 大地に染み入り、地界に父が旅立つことを剣士は感じていた。
30年経って現在のグローランサ世界知識で見直して
GM:オーランス人の部族長の地位って、世襲じゃなくて投票で決められるものだから、アルゼルに託すのは不自然なんだよね
アルゼル:そもそも、フマクト信徒になる時点で血縁も断ち切ってるから、父親と息子の対話というものが成り立たないしな
GM:親族殺しは混沌を呼ぶ大罪、というのもフマクトの血縁断つ儀式の後なら問題ないのかね?
本編11 赤き短剣、血..
GM: 死体が累々と重なり、今となっては立ち阻む者は 何も無い。
フィーナ:人質のいましめを解く。
GM:ハーンや商人達は安堵の息を漏らし君達の方に寄ってくる。リドさんは爺さんの死体には目もくれずラーグに近づいて来る。ラーグ、〈視力〉ロールだ。
ラーグ:成功。
フィーナ: しまった! リドの首元を見る。
GM: 言うのが遅い。通常成功では意味はないぞ。リドさんは待っていた君の胸にその身を任せる。君は少女を自然と抱く体勢になる。そうなれば見えるだろう。リド の衣服の衿から月光とは別に赤い光が発せられている。 刹那、君は腹部に激痛を感じる。目をやるとリドの手に握られた短剣が脇腹に突き刺さっている。鎧無視して6ダメージだ。
ラーグ:うつ、地面に倒れ込むだろうな。
GM:明らかにリドの首元に例の紅い首輪がはめられて いる。彼女は辺りを見渡しアルゼルに視線を定める。 『どうやらこの村は拠点にできなくなったようね』この口調はどこで聞いたことがある。リドさんとはまったく別人の物だ。 『あなたは自分の父親を殺してしまったようね』とローランドを見て言う。
アルゼル:『くっ・・・』
GM/魔術具を通じたガレリア:『その男にはもう少し働いてもらいたかったのだ けど、なかなか上手くいかないようね』
アルゼル:『何が言いたい』
GM/魔術具を通じたガレリア: 『貴方達はこの娘を殺せるの? まあこの首輪を外せるなら別だけどね。 この娘を殺すことになるかも知れないのよ?』
首輪のAPは6だ。通常の物品破壊のルールでやるぞ。ただしオーバーしたダメージはリドさんに与えられるから注意しろよ。他の村人がしていた物とは少し異なり赤月のルーンが刻まれている。今回ガレリアさんは声 だけの出演ですな。
ラーグ: 後ろから羽交い締めをする。
GM: 〈組み付き〉でロール。
ラーグ:全然駄目。腹の傷のせいだぁ。
GM:今回散々毒をやってきたんだ、そろそろと思っているだろう。当然短剣に毒が塗ってあるぞ。毒強度13 と抵抗してくれ。
ラーグ:あれ、また失敗。
GM:どんどん体が動かなくなっていく。1ラウンド毎 に10%のペナルティが累積していくぞ。
ドク:しょうがない、殴るぞ。
GM:(ドクの巣でダメージ欄見て)殴るんだな?〈拳攻撃〉 ロールしろ。効果的成功?こちらの〈回避〉は失敗。せっかく高くしておいたのに。
ドク:7ポイントが右腕にいく。
GM:・・・。リドさんは鎧なんか着とらんからな、そのダメージだと右腕がへし折れ、身体が2mふっ飛ばされ、 あまりの打撃に出血が伴い1ラウンドで死亡だ。
一同: おーい!
ドク:なんでー!
GM: 当り前だ! 貴様は自分のパンチ力が棍棒以上だと いう事実に気付いとらんのか!
意外な結幕に一同言葉を失う。よもやここでリドまで死ぬとは・・・・
一同は墓地に死者を埋葬し、焼け落ちた村を後にする。リドの命など多くの犠牲が払われ、今 事件は終幕を迎えた。
ドク:混沌もルナーも許さん!