ウィザー日記 改め ホビー日記

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ルーンクエスト(RQG)_戦闘バランスを考える

ルーンクエストは暴力あふれる世界グローランサを舞台としたTRPGです。戦闘シーンは多くのシナリオで想定されています。
今回はルーンクエストというゲームシステムでの戦闘バランスについて考察してみましょう。

攻撃命中判定の考え方

ちょっと変化球ですがルーンクエスト以外のTRPGと比較してみましょう。

(a) 上方判定の一方的な判定/伝統のダンジョンズ&ドラゴンズ方式:「D20の出目≧目標値(アーマークラス)」で判定して「レベルごとに成長するヒットポイント」で耐える方式。防御側が判定を行うことは無いし、どんどんダメージを与えあう設計理念なので、判定処理はとてもスピーディ。

(b) 独特な処理判定/トンネルズ&トロールズ方式:「戦闘力に応じた大量のダイス+固定値」で互いに攻撃パワーを算出し、比較して差分がダメージとなる方式。このタイプの判定はかなりユニーク。ダイスの出目を集計する時間はあれど、攻撃判定が防御判定を兼ねるので、進行処理はスピーディ。

(c) 上方判定の双方判定:攻撃側と防御側の「(判定ダイスの出目+固定値)=達成値」を比較。防御判定が行われる分だけ処理時間が発生するが、上方判定では達成値の比較を細かく行いやすく、攻撃失敗という結果を少なくするシステム的な調整が行いやすい。

(d) 下方判定の双方判定:攻撃側と防御側が「基準値≧判定ダイスの出目」でそれぞれの行為の成否を判定。防御判定が行われる分だけ処理時間が余分に発生する。しかも、互いが成功したときに防御優位となる基準だと、攻撃失敗が続きやすく、戦闘ラウンドが長期化しやすい。

それぞれ長所と短所、独特の面白さがあります。ルーンクエストは(d)の考え方で戦闘システムが構築されているため、実力が拮抗した状態で戦闘が始まると、泥仕合となる可能性が他のシステムよりも高くなります。
そういうデザインなのです。

 

攻撃がクリーンヒットする確率をザックリ見積もる

精緻な計算をするのは大変なのでt「攻撃側の成功率×防御側の失敗率」を目安にしてみましょう。

技能値25%の未熟者同士がやりあうと「0.25×0.75=0.1875」となるので約19%となります。1分ぐらい互いに失敗しあって、幸運に恵まれた側が一発入れる、という程度。
技能値50%同士ならば約25%、技能値75%同士ならば約19%、技能値90%同士ならば約9%、となります。攻撃は成功しやすくなるが、同じくらい防御側が成功して打ち消すという展開になりますが、結果としては泥仕合の長期化です。

ルーンクエストは強い者同士が殴り合うと、基本は泥沼の長期戦が待っている、と覚えておきましょう。
まぁ、クリティカル成功やスペシャル成功であっという間に決着つくことも多いですが…

 

泥沼の長期戦を避けるためにプレイヤーができること

ちゃんとバフ魔法を使う:泥仕合になるのは双方の技能値が拮抗してときです。《筋力》を使えば武器技能の成功率が10%上がったりします。《鋭刃》も同じように高まります。

ちゃんと攻撃魔法を使う:攻撃魔法は発動してもPOW抵抗ロールで打ち勝たないと無効化されます。そのためPOW能力値で劣っていると、抵抗されると諦める人も少なくありません。しかし、抵抗される確率は高かったとしても、近接戦でクリーンヒット入れるよりは高い成功率だったりします。

ちゃんと先制射撃をする:ルーンクエストでは「ジャベリンなどの投擲武器は受け流せる」のですが、「ボウやクロスボウなどの発射武器は受け流しできない」とシビアなルールがあります。〈コンポジットボウ〉技能が高くないから撃たない、とあきらめず、撃てる時には試みた方が良いです。

ちゃんと各個撃破する:防御判定としての「受け流し」と「回避」は、同一ラウンドに複数回試みると累積でペナルティを受けるようになっています。集団戦で双方が1対1の決闘状態が多くなる、泥仕合会場が増えるだけです。1体の敵に対して複数人の攻撃を集中させることで、突破口を開くことが可能になります。

 

泥沼の長期戦を避けるためにキャラクターができること

泥沼の長期戦を避けたいと相手も感じている可能性はあります。混沌の怪物などは無理かもしれませんが、言葉がわかる人間同士であれば、交渉の余地は残されているかもしれません。同じ文化背景や慣習を持つ者同士であれば、なおさらです。

互いの撤退を提案:根本的に休戦が難しい相手でも、双方の負傷者を回収するため、戦闘を中断するという申し出は、案外現実的な提案となることもあります。相手の〈豊穣〉ルーンや、負傷している仲間への〈忠誠〉パッションに訴えかける、などやり方はいろいろあるでしょう。

代表者の一騎打ちに持ち込む:交戦相手の実力にもよりますが、双方の代表者の決闘で勝負をつける、という申し出です。プレイヤー側キャラクターがルーンポイントなどリソースを温存していたのであれば、戦闘を仕切りなおすことで優位に立てる場合もあります。一騎打ちを同意させるために、相手の〈名誉〉パッションに訴えかける、などやり方はいろいろあるでしょう。

交戦を続ける理由を互いに明確にする:ルーンクエスト(RQG)では特にありがちなのが、パッションやルーン判定の結果、カッとなって切りかかったり、思わず手を出してしまった…という理由で交戦がはじまることもあり得ます。


鼓舞(インスパイア)も忘れずに

魔法を使うためのルーンポイントやマジックポイントが尽きたときでも、パッションやルーンを用いた技能強化は可能です。

https://www.chaosium.com/content/FreePDFs/RuneQuest/CHA4027%20-%20Japanese%20-%20RuneQuest%20Glorantha%20Quickstart.pdf

鼓舞(インスパイア)
ゲームマスターの同意があれば冒険者たちは情熱(パッション)によって鼓舞(インスパイア)することにより一つの技能の増強を試みることができる。ある状況、たとえば戦闘や戦争や会議や儀式などにおいて可能なのは一回の鼓舞の試みだけである。鼓舞はその戦闘や合戦(最大で1日)の継続中のようにその行動の完了に必要な時間だけ持続する。実際の持続時間はゲームマスターが決定する。
いったんルーンや情熱による鼓舞を試みたら、その状況のあいだは冒険者は例え別のルーンや情熱であったとしても再度鼓舞を試みることはできない。また鼓舞からの増強ボーナスは他の技能による増強ボーナスと組み合わせることができない。
情熱で鼓舞を試みた時は、情熱の値に対してD100 をロールする。

通常成功であれば+20%ボーナスを特定の技能判定へ得ることが出来ます。
極論ですが、戦闘中であっても、新たなパッションを取得することができます。本当に打ち手が無くなったのなら、ロールプレイで新たなパッションを獲得して即座に使う事だって…

憎悪:鼓舞(インスパイア)に使用する場合、憎悪は特定の敵に対してのみ使用できます。特定のトロウルを攻撃するために〈憎悪/トロウル〉を鼓舞(インスパイア)された冒険者は、特定のトロウルと直接戦うときに「情熱」ボーナスを獲得しますが、戦闘中の他のダークトロウルまたはトロウルキンの一般的な修正としてではありません。特定の敵1体だけでなく、目の前にいるすべての敵と戦うように冒険者を促すことができる「情熱」は、〈帰依〉や〈忠誠〉、〈愛〉となります。…地味に憎悪はボーナスを得られる範囲が狭いです。

名誉/Honor:名誉は、卓越した武人の美徳であり、尊厳、誠実さ、誇りの個人的な規範です。それはオーランスとヒューマクトのカルト、そして多くのルナーのカルトの重要な「情熱」です。名誉を他の社会的義務と区別するために慎重に使用されます。誰かがあなたの家族を侮辱した場合、個人の名誉を悪用することはできません。〈愛/家族〉がそれをカバーします。同様に、あなたの神格を侮辱する人は、名誉ではなく、〈帰依/神格〉や〈忠誠/寺院〉の情熱を用いるべきです。

帰依:神への帰依は、グローランサでの宗教活動の一般的な形態であり、人生の個人的な神格への献身を伴います。 この「情熱」は、指定された神格への誠実で熱心な献身を示しています。 鼓舞(インスパイア)に使用すると、神格は冒険者の中である程度現れ、神格の影響の小さな兆しを吹き込みます。帰依した神格の仇敵との戦闘に勝つため、神格の神話での活躍を再現するような戦い方、という鼓舞のやり方があるでしょう。

 

ルーンの鼓舞(インスパイア)
ルーンは技能を増強したり、抵抗ロールの成功率を上昇させるための鼓舞(インスパイア)に使用することができる。なにを増強可能かはそれぞれのルーンごとに決まる。
「元素」のルーンはそのルーンに関連する技能分野に属する非戦闘技能や、ルーンに関連する五感や、元素の武器を増強することができる。キャラクターは「力」や「形態」のルーンを使ってそのルーンに従って使用されている技能を増強することができる。
ルーンによって鼓舞(インスパイア)するためには、プレイヤーは技能に対して適切な増強を提案して要求し、ゲームマスターの同意を得なければならない。もし冒険者が現在の状況であるルーンや情熱(パッション)による鼓舞を既にロールしていたら、同一であれ異なるものであれルーンや情熱によって鼓舞することはできない。さらに鼓舞から得たボーナスはほかの技能からの増強と合わせて使うことはできない。
鼓舞の効果時間はほぼ一つの戦闘や合戦の続く間、もしくはゲームマスターが決めた適切な時間となる。

効果は情熱/パッションとほとんど変わりませんが、どのルーンが戦闘時の鼓舞に役立つのか、サンプルを提示してみましょう。

死のルーン:相手を殺すための戦いならば、死のルーンの鼓舞(インスパイア)はイメージにピッタリでしょう。多くの武器技能の強化に用いることが出来る可能性があります。

無秩序のルーン:闘争のルーンとも呼ばれます。喧嘩や戦争において鼓舞(インスパイア)による技能強化に用いることが出来る可能性があります。

風のルーン:風のルーンは「剣」に関連があるとされます。〈ブロードソード〉や〈グレートソード〉の技能強化に用いることが可能です。

大地のルーン:大地のルーンは「斧」に関連があるとされます。〈バトルアックス〉や〈グレートアックス〉の技能強化に用いることが可能です。

火/天空のルーン:火のルーンは「槍と弓」に関連があるとされます。〈パイク〉や〈コンポジットボウ〉の技能強化に用いることが可能です。

暗黒のルーン:暗黒のルーンは「打撲武器」に関連があるとされます。〈ヘヴィメイス〉や〈モール〉の技能強化に用いることが可能です。

水のルーン:水のルーンは「ネットと鞭」に関連があるとされます。また、運動技能にも関連があるので〈回避〉技能強化に用いることが可能です。

月のルーン:月のルーンは「湾曲した武器」に関連があるとされます。〈コピシュ〉や〈シックル〉の技能強化に用いることが可能です。

獣のルーン:野蛮や野生のルーンとも呼ばれます。爪や牙などの肉体武器技能強化に用いることが出来る可能性があります。