ウィザー日記 改め ホビー日記

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オーランス人について ~個人、年齢、性別、婚姻、法的権利~

RQGの基本ルールでサポートされている地域はドラゴンパスです。その多くの場所にはヒョルトの法に従うオーランス人が多く暮らしています。
グローランサ年代記」で語られた内容を元に、オーランス人の社会文化を振り返ってみましょう。

個人
「何者も汝を使役することはできぬ」(ヒョルトの法より)

 オーランス人の社会では、個人の独立性を認めていますが、それと同じくらい社会性を要求しています。
社会に留まらず無法者となることを選ぶものもいますが、ほとんどのオーランス人は共同体に留まることを選びます。

オーランス人の社会に所属することで、伝統的に5つの利益を得ることが出来ます。承認すること、参加する事、庇護を受けること、指導すること、正義を成すこと、です。
社会に所属する構成員は、5つの義務を果たします。個人的な栄誉(高潔さ)を維持すること、 共同体の人々を養い守ること、 選ばれた長に従うこと、正義に従う事、歓待の掟守ること、です。

利益と義務は、部族と呼ばれる共同体段階が維持される状態でうまく機能することが多いようです。
オーランス人の中で、個人は年齢、性別、婚姻状態、法的地、宗教上の地位、職業によって扱われ方が違います。

年齢
「老人を敬え。彼らは経験の泉である」(ヒョルトの法より)


オーランス人は賢さを美徳の1つとして考えており、賢さは経験によって蓄積されると考えています。その経験の量によって4つの階級に分けられます。子供 (未成年)、成人、親、老人。

未成年の地位は、子供や氏族に引き取られた者のためにあります。オーランス人の両親から生まれたすべての子供が対象となります。それ以外でも、保証人がおり、社会の中に残るためのさまざまな基準を満たしている者にも認められます。未成年にはほとんど義務もなければ、特権もありません。
出産前の母体の中に留まった状態でも未成年として認識されていますが、生後1週間後に行なう簡単な儀式で公式に未成年の人間だと認められます。
氏族の一員になりたいという成人の異邦人は最低六か月の指導期間と、 氏族の未成年の一員として誕生を迎える儀式を経て、まずは未成年者として受け入れられます。

子供は正式な成人の儀式を経て成人になります。多くの氏族では15~19歳の未成年者を対象に、指導と教育のための準備期間、若者たちだけで過ごす期間を経て、平均で5年に1度の頻度で通過儀礼が行われます。 
通過儀礼を経て成人となった者は義務と権利を得て、共同体を支える一人前の構成員と認められます。

親というのは子を産んだ者、または子供の父親になった者のことです。オーランス人の結婚年齢は平均して22歳前後ですが、成人となってすぐに結婚する者もいれば、かなりの晩婚となるものも様々です。
親は特別な法的地位、特権などを得ることはありません。しかし、子供の親として色々なものを得、それに伴って関心事や義務や祝福をも受けることで賢くなります。
37歳になっても親になれなかった者は望めばいつでも知恵の巡礼の儀式を執り行なうことに よって、「親」になることができます。

60歳以上の者は、「老人」階級と認められます。知識の宝庫である老人は、不安定でしばしば暴力的な生涯をただ生き延びているというだけの理由で広く尊敬されています。 85歳 を超えた者はたいへん長命であると考えられ、100歳を超えるものは古老と呼ばれます。
時折、超人的な人の中には明らかに無限の寿命を持つ者もいるが、極めてまれです。 

なお、RQGでは冒険者は21歳からスタートするのがデフォルト値となっています。
冒険の幕間で様々なライフイベントを経験する可能性があります。時には結婚したり、子供を得ることもあり得ます。

 

性別

オーランス人は男と女は違うものとして評価しています。性差というものは、もともと生殖機能や性的衝動に基盤を置くもので、人々は男女の性差を受け入れ、楽しんでいます。性差を認めたからといって、別にどうということはありません。どちらが優れているというわけではないからです。
性差を受け入れるからといって、オーランス人はそれを絶対的な基準として全員に押しつけようとはしません。女性の戦士もいれば、男性の機織りもいます。どちらも普通に存在するし、受け入れられます。にもかかわらず、だいたい85%の人は「男らしい」「女らしい」と いわれる生活様式に従っています。

典型的な「男らしい生き方」を支援するのがオーランス教団であり、典型的な「女らしい生き方」を支援するのがアーナールダ教団となります。
上記の約85%というのは世界設定としてのフレーバーなので、プレイヤーは好きな性別を選んで冒険者を選択すると良いでしょう。

 

婚姻状態
「共寝するのはたやすいが、共居するのは難しい。 神々は婚姻の絆を祝福し給う」(ヒョルトの法より)

オーランス人にとっての結婚は構成員相互の絆です。それは排他的で、一夫一婦制です。比較的性に関して開放的で、婚前交渉が禁じせれているわけではないので、それ故に結婚関係は重要であると考えられています。
結婚は神への誓いによって決められたものであり、姦通は認められず、時には危険です(神への誓いを破ることは、神から報復の精霊が送られることを意味します…)。
離婚は一般的で、夫からも妻からも行なうことができます。離婚の際には慣習法によって財産の分配が決められます。婚姻契約に違反した場合を除いて、妻は持参金を持ち帰るし、夫も結納を取り戻します。 

結婚には7種類の状態が認められます。 


1. 夫と妻
双方が同等の財産、地位、義務を持つ者である場合。女性は夫の家に入り、子供は夫の氏族に加わる。

2. 夫と身分の低い妻
夫の方が高い地位と多くの財産を持っており、したがってより多くの発言権を持つ。女性は夫の家に入り、子供は夫の氏族に加わる。

3. 妻と身分の低い夫
妻の方が高い地位と多くの財産を持っており、意志決定により大きな発言権を持つ。男性は妻の家に入り、子供は 夫の氏族に加わる。

4. エスロリア人の夫
妻は夫よりも多くの財産を持ち、高い地位にある。 男性は妻の家に入り、子供は妻の氏族に加わる。 

5. 一年妻、または夫
これは一時的な結婚であり、一年経つと更新される。そのほかはエスロリア人の場合に準ずる。

6. 閨の妻、または夫
証人をともなって公的に認められた場合を除けば、この結婚によって財産が譲渡されることはない。子供は閨の妻、 または閨の夫でない方の親によって育てられる。したがっての夫には子供を育てる義務はない。 

7. 愛妾
財産は所有者を変えることはなく、二人の間に生まれた子供が相続することもない。一夫一婦の誓いは、誓いそれ自体のためか、ロマンチックな恋のために行なわれる。 子供は父親の氏族に入る。

 

法的権利

社会から利益を得るには、その社会の一員となることが不可欠です。「我々」の一員である人間は、「我々」が信じているものを信じると期待され、「我々」の法や慣習に従って物事を行なうと期待されます。
オーランス人の社会構造では、一つの氏族の中でも複数の段階の地位があり、それぞれ生活の質が違います。この地位は氏族によって授けられます。個人や家や血族の持つ個人的な財産は重要なものですが、それによって地位が決まるのではありません。

「貴族」「貴人」は最も高い地位です。彼らは指導者であり、貴族の中にもいくつか種類があります。最も低いのは氏族の長である酋長であり、その上が部族の長となる部族王です。一つの氏族に貴族の家は通常は二つのみで、酋長/族長と大司祭の一門です。
RQGで「貴族」とルール規定されているのは、生活水準が「貴族」となっている者たちです。出身職業が「貴族」「司祭」の冒険者がこの段階の地位となっています。

その下の地位は「近侍」です。彼らは世俗的、軍事的、宗教的な面で指導的な地位にあるかわり、それに応じて通常以上の義務を負います。 彼らは一族の長であったり、宗教儀式を指揮する司祭であったり、指導的な商人や職人であったり、首長の親兵であったり、氏族評議会の一員であったりします。彼らはその苦労に対して氏族から大きな地位と財産を与えられます。昔は「近侍」ではなく、「騎手」という意味の言葉で呼ばれていました。
RQGでは近侍という段階はルール規定されていません。しかし、複数の領地や農園を保有する準貴族が近い印象です。出身職業が「貴族」「司祭」以外の冒険者でも、氏族や部族から領地を任せられることで、この説明と合致する状態になるでしょう。
「サーン」という用語も、この段階の者たちを示すために用いられることがあります。


次に身分の高い自営農民は「農民」と呼ばれています。 この階級の者は「牛飼い」と呼ばれることもあります。この資格を持つには、農地を耕すため犂と牽引する牡牛たちが必要となります。通常は二季節かかって耕せるだけの土地を受け取ります。
農民はまた、最低限の武装を持ち、長の命令があれば共同体を守るために民兵として戦う事が望まれます。 
RQGでは生活水準が「自由身分」と規定されている職業がここに該当します。約80~120エーカーの農地を1ハイドという単位で表現しています。

小作人」が次の階級であり、「羊飼い」と呼ばれることもあります。小屋に住み、羊の群と庭にある小さな畑によって生計を立てています。 
RQGでは生活水準が「貧乏」と規定されている職業がここに該当します。

農奴」は最下層の人々であり、法的地位をまったく持ちません。まるで牛馬のように主人の所有物とみなされ、人間とは考えられません。ドラゴン・パスのオーラ ンス人の間では、この地位そのものは認められているが、 長いこと農奴所有が行なわれたことはありません。特に、彼らが自由を愛していることを強調し、奴隷を所有しているルナー人との区別を付けるためです。知られている農奴の大部分は負債によって奴隷身分に落ちた者や罪人であり、時には強情な捕虜が農奴にされることがあります。伝統的にオーランス人奴隷の子供は奴隷とは見なされず、母親を所有する氏族に引き取られます。
RQGの設定時代背景は「ルナー帝国の支配から解放されたサーター王国」となっています。オーランス人の伝統を守る部族や氏族では奴隷は認められていないものの、ルナー帝国のやりかたを受け入れた部族や氏族では奴隷所有が行われました。

「よそ者」はオーランス人社会に所属していない人間を指します。言い換えれば、部族の者が「彼ら」と呼ぶ者の中で最も広義のものです。よそ者はオーランス人社会からどれだけ離れているかで、異なったやり方で区別されます。

「客人」は、通常の社会の外側から来た者だが、一時的に 内部の者によって守られる者です。この地位を得るには、適切な保証人のある儀式が必要です。客のしたことはすべて、保証人かその親族が責任を取ります。 
プラックス、ルナー属領ターシュ、グレイズランドの出身冒険者がサーターの各部族や氏族に受け入れられるためには、「客人」として受け入れてくれる保証人が必要となるでしょう。

「旅人」はその集団(普通は氏族か部族)の外から来ているものの、オーランス人社会に属している者です。彼らは正規の規則や信念に従う者と信じられています。
サーター王国、エスロリア女王国、ターシュ流民国の出身冒険者は「旅人」としてサーターの各部族や氏族に受け入れられる可能性が高いでしょう。
厳密には北方系ターシュと南方系ヒョルトでは、いろいろ相違ありますが…


「無法者」は社会の外に置かれた者です。正義や名誉に反する行動をして無法者になった者も、社会を離れることを選んですすんで無法者になった者もいます。親族や長や部族との義務的なつながりからは離れています。完全に自由だが、援助をしてくれる社会的な後ろだてを持ちません。無法者が敵に捕まった場合、普通は殺されます。 
RQGでは捕虜となった時に自由を買い戻すための「身代金」が設定されています。キャラクター作成時点では「山賊」が無法者と規定されているようです。
〈忠誠/部族〉〈忠誠/氏族〉〈忠誠/寺院〉〈忠誠/ウォーバンド〉などのパッションを有している冒険者であれば、その共同体が身代金を支払ってくれる可能性があります。


「異邦人」はその異なった言語や流儀、宗教、その他の特徴によってオーランス人ではないとわかる人間のことです。古の時代にはオーランス人であった多くの者が、異国の風習を取り入れたために現在では異邦人と見なされています。

「古の種族」は混沌でない非人類の知的生物のことです。 コリマー族の土地にはドラゴニュートや排他的なターンディシの森のドライアドが住んでいます。近くには他のアルドリアミ(森の民)、ドワーフ(石の民)、ウズコ(闇の民) が住んでいますし、獣の谷にはセントールや知性のあるアヒルなどの半獣人が住んでいます。

「混沌」は悪です。さまざまな形態をとり、すべての生命を憎み、オーランス人に害を与えようとする力です。混沌に対しても妥協はまったく許されません。
混沌の存在であることが明らかになったものは、社会的な庇護を受けることが期待できません。
混沌を許容しているルナー帝国であっても、制御できない混沌は排除されますし、赤の女神の啓発を受けられない一般市民は混沌を恐れています。