ウィザー日記 改め ホビー日記

徒然と趣味のことを綴る雑書

「共同体」を中心としたキャンペーン運営

RQGの特徴の1つが「共同体」に所属する冒険者たちを描くことです。
根無し草の放浪の一匹狼は、グローランサでは生き残る事すら難しく、何らかの社会的支援者を必要とします。
RQ3版では、様々な共同体のうち「カルト」に焦点が当てられることが多かった印象があります。カルトからの依頼で冒険に出て、カルトから報酬を得る。冒険者パーティは友好的な関係のパーティから成る、といったところでしょうか。
RQGでは、カルト以外の共同体を設定することで、より多様性を冒険にもたらそうとしているようにデザイナーの意図を感じます。

 

共同体に所属するメリット

冒険者が「共同体」に所属することは多くのメリットがあります。所属しないデメリットは、そのメリットが受けられないことです。

(a) 共同体が保証人となる:最も一般的な場面は共同体が「身代金」や「賠償金」の保証人となることです。グローランサでの戦争や武力衝突では、戦闘不能になった者は捕虜となり、身代金を支払うことで解放される慣習が残っています。個人で身代金を用意できていなくても、共同体が肩代わりしてくれることが多くあります。
(b)暴力に対する抑止力となるグローランサは暴力に溢れる世界ではありますが、暴力には相応の報復が行われることも周知の事実です。
(c)魔術的な支援を得られるグローランサは魔法の力に満ちた世界ですが、個人単位で行える魔法は一般的にはそれほど強力ではありません。多くの強力な魔法は共同体単位で執り行う儀式によってもたらされます。ヒーロークエストと呼ばれる魔術儀式の成功には共同体の支援は必要不可欠です。

 

中心となる「共同体」を決める

様々な共同体が存在しますが、ルール的には〈忠誠〉のパッションの対象となる事、そしてワイターを有する組織であること、が共同体の条件となります。

共同体は、寺院、秘密結社、魔術結社、都市、部族、氏族、傭兵団、戦士団、盗賊団、などさまざまな集団があり得ます。
実際にはそれぞれの共同体はワイターと呼ばれる守護精霊と結び付きが無ければ維持することができません。

余談となりますが、神格への信仰心は〈帰依/××神〉、カルト組織への忠誠心は〈忠誠/××寺院〉と分けられたことで、寺院組織に束縛されない信仰心篤いキャセクターも再現できるようになっています。


部族を中心としたキャンペーン

特定の部族を中心に遊ぶキャンペーンは、より深くグローランサの人々を理解する機会が得られるので、新たにRQGを遊び始める方にとって新鮮な経験を持たらすかもしれません。

キャンペーンの中で冒険者たちは部族が直面する様々な危険に立ち向かい冒険に出ることになります。族長から褒賞として農場や所領を授かり、部族内の評判を高めることで郷士や貴族として認められるようになるでしょう。

GAMEMASTER ADVENTURESに掲載されている「Defending Apple Lane/アップルレーンの防衛」、「Cattle Raid/牛の略奪」、「The Dragone of Thunder Hills/雷丘の竜」はいずれもコリマー部族の領内で起きる事件を取り扱ったシナリオです。
また、クイックスタートルールに掲載されている「The Broken Tower/壊れた塔」も、同様にコリマーのクリアワイン砦から始まる冒険です。
これらのシナリオを一連のキャンペーンとして遊ぶのであれば、〈忠誠/コリマー部族〉を持ったコリマー部族出身の冒険者たちを中心に据えて進めることができます。

コリマー部族には便利な設定が複数あるので、部族外の出身冒険者であっても、関わりを得ることができます。
(a)レイカ女王に国外で仕えていた:コリマー部族の女王の“黒槍の”レイカは、直近まで国外追放されながらも、ホワイトウォール戦役やペンネルフォードの戦いなど、多くの戦いでその武名を轟かせています。冒険者はそのような戦いでレイカ女王の部隊に加わった勇士であり、ボールドホーム解放の戦いの後、レイカ女王に付き従ってクリアワイン砦にやってきた、というパターンです。〈忠誠/“黒い槍の”レイカ女王〉のパッションが欲しいと申請すれば、おそらくゲームマスターは許可してくれるでしょう。
(b)アーナールドリ氏族に婿入りした:コリマー部族の大氏族であるアーナールドリ氏族は女系氏族であり、女性たちは氏族外から夫を取る習慣があります。冒険者自身、あるいは親しい家族が結婚してアーナールドリ氏族に身を寄せている、とするパターンです。

 

氏族を中心としたキャンペーン

部族よりも小さな共同体単位となる氏族を中心に遊ぶキャンペーンの例。「公式設定集」で情報が充実した部族とは異なり、多くの氏族はあまり設定がされていないことが多いため、オリジナルの氏族を設定して遊ぶ、ということもしやすいことがメリットでしょう。

キャンペーンの中で冒険者たちは氏族が直面する様々な危険に立ち向かい冒険に出ることになります。酋長から褒賞として農場や所領を授かり、氏族内の評判を高めることで氏族の指導者の輪に加わることもあるでしょう。

逆に設定が充実した氏族を扱ったキャンペーン集をそのまま遊ぶ、ということもできます。Six Seasons in SARTARは氏族を中心としたキャンペーンの代表例です。同じ氏族出身の同世代の者たち、という縛りを設けて運営する超ローカルなキャンペーンのパターンとなります。

Six Seasons in SARTARでは女性の入信儀式を扱った「THE RIDDLE/リドル」と男性の入信儀式を扱った「Rites of Passage/通過儀礼」、氏族内の失踪事件を扱った「In sheep's Clothing/羊の皮をかぶった」、ルナー帝国に密かに反抗する戦士団との関わりを描く「The Deer Folk/鹿の民」、通過儀礼で起きた事故から派生する事件を扱った「The Taking/かどわかし」、サーター解放のため決起した英雄との出会い「The Starbrow/スターブロウ」、ハラボーン氏族の運命を決める「The Turning/転回点」などのシナリオを遊ぶことができます。

ウォーバンドを中心としたキャンペーン

Six Seasons in SARTARの続編となるCampany of the Dragonは、あるウォーバンドを中心としたキャンペーンの代表例です。
様々な経歴、様々なカルトの者たちが「ウォーバンド」という特殊カルトに入信する、という共通項を設けて運営されます。部族や氏族に比べると、参加キャラクターの多様性が広がり、シナリオが特定の場所に限定されないメリットはあります。

キャンペーンの中で冒険者たちはウォーバンドが直面する様々な危険に立ち向かい冒険に出ることになります。報酬は持ち運べる財産となることが多いでしょう。グローランサでは魔法の知識は素晴らしい持ち運べる財産のひとつです。ウォーバンド内での評判を高めることで、指導者の輪に加わることもあるでしょう。

 

都市を中心としたキャンペーン

部族よりも大きな共同体単位となる都市を中心に遊ぶキャンペーンの例。スターターセットでジョンスタウンについて情報が充実したことで、それを使って遊ぶことができます。都市は複数の部族から参加者が集う場所であり、個々の部族では少数派となるカルトの者たちが集まる場所でもあります。外国からやってきたものが留まることもあり、多様性という意味では最も多様なキャラクターを受け入れることが可能です。

キャンペーンの中で冒険者たちは都市や連合に加わった部族が直面する様々な危険に立ち向かい冒険に出ることになります。市長から褒賞として報奨金を授かり、都市内の評判を高めることで「市民」の地位を得たり、その後は都市の指導者の輪に加わることもあるでしょう。

逆にデメリットとしては「市民」として都市カルトに正式参加できるようになるまでは、同じ共同体に所属する仲間たちという一体感は希薄となります。

とりあえず参加プレイヤーが各々が好きにキャラクターを作って遊び始めて、面白かったから続けて遊ぼう、というときの受け皿となるパターンと言えるでしょう。